■■■■■■■□□□ 7点
【あらすじ】
1960年、冷戦の影響下で緊張が高まるアフリカ。混迷を極めるコンゴ共和国の政情を安定化させるため、国際連合は平和維持軍(厳密には「国際連合コンゴ活動」)の派兵を決定。150名の若きアイルランド兵士が現地に送り込まれた。
当初は駐留して睨みを効かせるだけのはずだったが、別の部隊が軽挙に出たことで作戦は失敗。なし崩し的に戦端が開き、アイルランド兵たちは不十分な装備のまま数十倍の戦力を持つ大軍に包囲されてしまう。
果たして彼らは生き残ることは出来るのか!?
非常に見応えがある戦争映画でした。
政治的な思惑から機密扱いとして隠蔽されてしまった局地戦と、それに関わった人物たちを描いた実話モノです。簡単だったはずの任務が地獄の泥沼に発展する様子はさながらアフリカ版『ブラックホークダウン』でした。
実話とは言えなにしろ「知られざる戦い」の映画化な訳で、結末が予想できないのもスリリング。
全滅するのか?誰かが助けに来てくれるのか!?
後半になるにつれてアイルランド兵たちがどんどんピンチに陥っていくので気が抜けません。
あとNetflixオリジナル映画と言えば何だかんだでちょっと低予算気味なつくりのことが多いですが、本作はキャストも豪華かつ戦闘描写も迫力ありむしろリッチな佇まいです。
背景の情勢が分かりづらい…
ただ(自分が不勉強なのを棚に上げて言っちゃうけど)本作の背景となるコンゴ動乱の事情が分かりづらいのは難です。
一応映画の序盤に駆け足で当時の世界情勢を語ってくれるのだけど、なるほど分からんって感じ。たとえば映画開始5分でヌッ殺されてしまう黒人男性はパトリス・ムルンバというコンゴの歴史においては超が付くほどの重要人物なのですが、映画ではほとんど説明が無いので彼が誰でなぜ死んだのかさっぱり分かりません。
同じ具合で主人公たちの部隊も何のために派兵されて本来は何をするのが任務だったのか分かりづらく、後半の盛り上がりにストーリーが上手く接続できていない感じです。
とは言えwikipediaの「コンゴ動乱」のページを開くとそれはもう怒涛の如き情報量なので、これらを全部盛り込むのは土台無理な話な訳です。
実は主人公ですらなんで派兵されたのかよく分かっていない(現地に入って初めてこれが大国同士の代理戦争であることに気付く)ので、説明不足なのは兵士視点の再現でもあり確実に「わざと」なのですが、もうちょっと何とかならなかったのかと思わんでもないです。
部下を守り誇りを貫く中隊長
主人公のクインラン中隊長を演じるのはジェイミー・ドーナン。
ドーナンと言えば『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』でダコタ・ジョンソンの生尻をペチペチして喜ぶあんちゃんのイメ―ジしか無かったので、軍人役なんて正直どーなん?とか思ってましたが中々どうして素晴らしかったです。
戦記物に詳しくユリウス・カエサルを信奉している彼は、いつか自分の戦術を実戦で試してみたいと思っています。が、実際に本物の戦場に出ると想像とは全く違うことに愕然としてしまいます。
「敵は必ず東から来る!」→来ない
というパターンを主人公がやっちゃうのは斬新。本と違うじゃああん!
でも彼はそこでくじけず、部下を守るために勇気と知恵を振り絞ります。この男気が頼もしい!
結局彼の勇気は「知られざる戦い」扱いになってしまう訳ですが、その誇りは本物だったことをエンドロールが教えてくれます。
頭頂が不自然過ぎる
クインラン達アイルランド兵を死地に追いやるクソ上司、オブライエン博士を演じるのはマーク・ストロング。
マーク・ストロング様はハリウッドいち輝かしいハゲ頭頂部をお持ちであらせられます。
しかし本作の彼はなぜかフッサフサ。
もう超不自然で画面に出てくるたびに腹筋崩壊。
自分の統率力の無さから末端の暴走を許し事態を混乱させ、その失敗のツケとして最終的にクインラン達を捨て駒扱いにするという無能なうえにクソ野郎な訳ですが、その頭頂部ゆえ憎めません。
実際彼の言う通り、クインラン達が犠牲になったから大規模戦争を回避できたのは事実なのかも知れないし。
と言う訳でフサフサのマーク・ストロング様が見られるのはNetflixだけ!