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『ブライト』感想 異種族同士の警官コンビ!でも話が全体的に噛み合わず…

■■■■□□□□□□ 4点
【あらすじ】
富裕層かつ支配者層であるエルフ。
貧困層かつ被差別層であるオーク。
その中間の人間。
三つの種族が共存する架空のロサンゼルスを舞台に、黒人警官と新米オーク警官のコンビが世界を破滅に導く陰謀へ立ち向かう!

Netflixが半年くらい前から猛烈にプッシュしている話題作『ブライト』がついに配信されました!
とは言えこの映画、『スーサイド・スクワッド』を成功に導けなかったデヴィッド・エアー監督と『スーサイド・スクワッド』をダメにした戦犯のウィル・スミスが再びタッグを組んでしまったというザ・見えている地雷です。なんでまた組んじゃったんだよ二人…(^_^;)

しかし反省を活かして今度こそ良い映画を見せてくれるかも知れない。デヴィッド・エアー監督が大得意とするロス市警ものだし!と一縷の期待を持って観てみましたが、結論を先に書けば案の定ダメでした

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異種間バディ!

噛み合わない相棒同士が数々の困難を経て強い絆で結ばれていく!というのはバディもののテンプレですね。本作ではそれが人間とオークという異種族同士であるというメルヘンチックな設定が最大の特徴です。

いわば現実の世界の貧富の格差や人種差別等の問題ををファンタジー要素で暗喩している訳ですが、ぶっちゃけこのネタは30年前に『エイリアン・ネイション』でやり尽くされているのでそんなに目新しさは無いです( ̄▽ ̄;)

エイリアン・ネイション [DVD]
それよりも新米オーク警官のジャコビーのキャラクターが主たるテーマでした。
仲間のオークからは「人間に尻尾を振るオークの風上にも置けないヤツ」と蔑まれ、人間からは「薄汚いオークが警官のフリとかマジ受けるんですけどwww」とバカにされる。エルフにはそもそも相手にされない。
世界のどこにも居場所が無いのに、それでも正しいと信じる事に命を賭ける姿が「男の価値は生まれや種族じゃないんだよ!何を為すかで決まるんだよ!」という主張を明確にします。
相棒の黒人警官ウォードが「僕は種族差別なんてしないぞ(キリッ」みたいな優等生キャラじゃないのも好感触です。むしろ他の警官同様オークに対する根強い差別意識があり、建前では差別してない風を装うも本当はジャコビーのことが嫌で嫌でしょうがない…というキャラクターに生々しさがあってグッド。
現実の世界にも横たわる人種差別の根深さを象徴しています。
そんな二人が幾多の死線を越え真の絆で結ばれていく様はまさにバディものの王道。本作はきっちりここが押さえられています。

しかし脚本ガタガタ

こう書くと面白そうですよね『ブライト』。実際、映画の前半はドラマはしっかりしておりほんとに面白かったです。
しかし何でも叶える伝説の魔法アイテム「ワンド」とそれを狙う悪いエルフが出てきた辺りから話は一気にグダグダに

ウォードたちがガラの悪い場所に隠れる→追手に襲撃される→逃げてガラの悪い場所に隠れる→追手に襲撃される→逃げてガラの悪い場所に隠れる…
という完全に同じパターンを何度となく繰り返します。その間特にスト―リーの進展がある訳でもなく、ひたすら逃げるシーンが続き緩急もへったくれもありません。書いてておかしいと思わなかったのかこの脚本…。
悪いエルフたちがなぜワンドを狙うのかも、そもそもそんなに大事なワンドをなんであっさり失くしたのかも、すべてがテキトーに考えた感丸出しの理由で物語の整合性などハナからつける気ナッシングです。
大体「三つの種族が共存している」ことをプッシュした世界観なのに、エルフの存在意義がほとんどありません。人間とオークだけで同じ話が成立します。がんばって耳尖らせたノオミ・ラパスが可哀そうです(´Д⊂)
極めつけは突然の主人公補正で脈絡なく逆転勝利するウィル・スミス
その俺様ぶりが映画をダメにするんだって!!

スーサイド・スクワッド(字幕版)
↑ウィル・スミスの俺様ぶりがダメにした映画筆頭
『スーサイド・スクワッド』の時は出資者勢が製作に口出ししまくったせいでデヴィッド・エアー監督の意図とはかけ離れた映画が完成してしまったのだと噂されましたが、本作を観るに彼は起承転結をつけるのがそもそも苦手だとしか思えません。『エンドオブウォッチ』は確かに超傑作ですが、あれもストーリーの展開を楽しむ映画じゃなかったし。
と言う訳で控えめに言っても楽しめたとは言い難い出来でした。
ウィル・スミスが振り向きざまに〇〇達を撃ち殺すシーンまでは本当に面白かったしカーチェイスシーンも迫力ありましたが、全体としては正直時間の無駄レベルでした。

 

※ ネタバレ警告※ 
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!

『トレーニング・デイ』を引用するも…

トレーニング デイ (字幕版)
ネタバレしてまで語りたい要素はあまり無い映画なのですが、一つだけ。
ラスト近く、ギャングに捕まってリンチに遭うジャコビーとウォード。そして彼らの処刑を命じられるギャングのボスの息子。
しかしこの息子くん、かつて危ないところをジャコビーに助けて貰ったことがあり「恩人を殺せない」と銃を置くのでした。
デヴィッド・エアーが渾身の脚本を手掛けた『トレーニング・デイ』に通じる良いシーンです。情けは人のためならず。悪が支配する薄汚い街でも、人間の善性は巡り巡って自分を助けてくれるのです。
と思ったらギャングのボス「分かった息子よ、お前は先に帰っていろ。トドメはワシが撃つ!」→バーン!!ジャコビー死亡。
意味ないじゃん!
ジャコビーがボスの息子を助けたエピソードが丸ごと無意味じゃん!
なにこの脚本!!

しかもその後すぐにワンドの力でジャコビーは生き返った!
もうバカバカしくてバカバカしくて、このシーンから先は心底「あー早く終わらないかなー」モードでした。以上!



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