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『手紙は憶えている』感想 70年前の恨みを晴らせ!認知症老人の復讐譚

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■■■■■■■□□□ 7点

【あらすじ】
妻に先立たれた90歳のゼブは、老人ホームの友人と共謀してある計画を実行に移す。それは第二次世界大戦時、アウシュビッツで自分達の家族を虐殺しておきながら戦争裁判を逃れた憎きナチス将校をブッ殺すこと。
しかしゼブは認知症であり、暗殺はおろか一人では買い物さえまともに出来ない。この復讐は果たして成功するのか。そしてその先に待つ驚愕の結末とは。

ずっと観たい観たいと思いつつ何となく後回しにしていた『手紙は憶えている』が突如Amazonプライムビデオで配信開始。やったぜ。と言う訳でさっそく観てみました!
『メメント』風の犯人捜しサスペンスに歴史ミステリーの要素をトッピングした秀作でした。ただツッコミ所がちょっと豊富なのは頂けないかも。

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スリリングおじいちゃん

手紙は憶えている(字幕版)

本作を面白くしている最大の要素は、何と言っても復讐に燃える主人公のゼブが認知症のおじいちゃんだという点に尽きます。

殺された家族のカタキを討ちに勇んで電車に乗っても、車内で目的を忘れて「こ、ここはどこじゃあ~(つд⊂)」と当惑する始末。しかし彼はそのたび老人ホームメイトにしてアウシュビッツ生存者仲間であるマックスの手紙を読み、自分が何者でどんな使命を背負っているかを思い出すのです。
だからタイトルが『手紙は憶えている』なのでした。

このスリリングさがたまらない!
迷子になってそのまま復讐果たせず仕舞いになるのではないか。或いは耄碌し過ぎて全然関係無い人間を殺してしまうのではないか。
画面ではただおじいちゃんがウロウロしているだけなのにとんでもない緊張感です。目的をすぐ忘れる主人公が復讐の相手を求めてさまよう…というテロップはクリス・ノーラン監督の出世作『メメント』を思い出させます(実際「手紙を見ろ」とゼブが自分の身体にメモを残すというそっくりなシークエンスあり)。

メメント (字幕版)
しかもそんなゼブが一見無力で人畜無害そうなおじいちゃんなので血なまぐさい目的を持っているとはつゆ知らない周囲の人間が親切心から度々助けてくれるというのが独特のユーモアを醸し出しており、緊張感一辺倒にならないよう上手く緩急が付けられています。すげえ脚本だ。
ボケて当惑しているモードと正気に戻って復讐に燃えるモードを佇まいだけで演じ分けるクリストファー・プラマーの演技力にも注目です。
「70年前のことなんか忘れて、静かで幸せな老後を過ごせばいいのに…」とは到底思えないことは、アウシュビッツ強制収容所を題材にした他作『シンドラーのリスト』や『サウルの息子』などを観れば当然のことなのでした。
積年の恨みを晴らすべく、人生最後の執念を燃やすおじいちゃん。
歴史の重さを物語の説得力に転化したサスペンスとして非常に楽しめます。

Amazonプライムビデオで観られたのはほんと僥倖だったぜ。最近配信作品のチョイスが凄く良くて助かってます。↓

↓壮絶過ぎるアウシュビッツ追体験ムービー
一生忘れられません

サウルの息子(字幕版)

 

※ ネタバレ警告※ 
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!

そんなに都合良く行くかよ!

様々な紆余曲折の果てに復讐の相手「ルディ・コランダー」を探し出したゼブ。
しかしその男から聞かされた衝撃の真実はゼブ自身こそ本当の「ルディ・コランダー」で、ユダヤ人の虐殺に自ら加担していたという事実でした。ゼブは元ナチスで、認知症によりその事実を忘れていたのです。すべては真のアウシュビッツ生存者であるマックスの仕組んだ罠だったのでした。
復讐するは我にあり…。すべてを悟ったゼブは自ら命を絶ち、その復讐を完遂させたのでした。
というテロップだけなら驚きの結末なのですが、いくら何でもそう都合よく行くかよ!という気持ちが感動にブレーキを掛けます。
一応ゼブがナチスであるという伏線としては「やけに射撃が上手い(=元軍人である)」「アウシュビッツ生存者なのにワーグナーが好き」などがちゃんと散りばめられており、やりたいことは分かります。でも認知症ってだけでそうそう別の人生の記憶を植え付けたりは出来ないぞ!

認知症にも色々あるけどゼブは一日のうちで明晰な時間と耄碌の時間がめまぐるしく入れ替わるタイプで、いわゆるまだら認知症(脳血管性認知症)っぽい雰囲気です。だとしたら昔のことは比較的よく覚えているはずで、たかだが手紙で自己認識を根本から書き換えるなど不可能です。
仮にアルツハイマー型認知症なら今度は自己認識そのものが損なわれるので、別の自己認識を植え付けるなんてやっぱり不可能。
リアル感が乏しく、認知症は映画を面白くするために存在する病気じゃないんだよ!と言いたくなります。
アリスのままで(字幕版)
↑突然ですが認知症映画と言えばコレ凄く良かった
それに「見た目が無害そうだから皆に怪しまれない」というのはこの映画の面白ポイントの一つですが、いくら何でも警察官を殺してお咎め無しはあり得ないだろ!しかもあんなに痕跡を残しまくっておいて!
と言うかその警察官を殺したくだりが一切本筋に絡んで来ず凄く中途半端です。『ブレイキング・バッド』のハンクことディーン・ノリスが「ハイル・ファッキン・ヒットラー―ッ!!」と熱演を披露していたのにこの扱いはあんまりじゃなかろうか。
大体、記憶障害と復讐心の組み合わせを第三者に利用される…という流れがまんま『メメント』じゃん。似てると思ったらオチまでそっくり…これどうなの!?
と言う訳で結末のご都合主義やその他諸々にガックリ来たのは否めません。
が、コンセプトの面白さと途中のスリルは一級品。今まで見てきたアトム・エゴヤン監督作のなかでは一番面白かったです!



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