映画

『葛城事件』感想 極上の不快感

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■■■■■■■■■□ 9点

【あらすじ】
通行人を無差別に8人殺傷し死刑判決を受けた凶悪犯・葛城ミノル。
その父親のもとに若い女性ジュンコが現れ、ミノルの人間性を取り戻すため彼と獄中結婚する旨を告げる。
葛城一家の過去が紐解かれていく…。

ライムスター宇多丸もその後味の悪さを激賞していた『葛城事件』をやっとこさ観ました。
噂に違わぬ厭な映画でした。もうすべてのシーンがいたたまれないです(特に葬式のくだり)。観終わった後にどっと疲れました。
全然楽しい時間じゃなかったけど、この芸術性は素晴らしいと言わざるを得ません。凄まじい映画体験でした。

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家族(笑)

「定職につき」「家族を養い」「庭付き一戸建てのマイホームを所有している」という、世間一般から見れば至極まっとうな父親。そしてその家族。
しかしその実態は強権的な父親を中心にすべてが歪んでいる一家であり、そのツケは最悪の形で噴出することになります。

葛城事件
妻を精神的・肉体的に虐待し、暴言で息子の人格を否定し続ける父親。
現実を一切見ず問題を先送りにし続ける母親。
そんな夫婦の間で波風立てないことだけに腐心し、自力で生きる術を身に着けられず大人になってしまった兄。
そして自分の窮状を周囲のせいにし続け、自意識だけが現実から離れて肥大化し続ける弟。
全員不快です
こいつらが画面に出てくるたびにヘドが出る。よくぞまあここまで厭な雰囲気を創出できたものだと感心してしまいます。彼らが辿る悲惨な末路にお釣りが出るほどの説得力があります。
そして弟(=ミノル)が大量殺人事件を起こし死刑判決が下った後に、彼と獄中結婚するジュンコ。彼女なりに崇高な信念のもと行動しているつもりのようですが、まごうことなき狂人です。「人間の善性」とやらの狂信者です。しかしそんな狂人が一番マトモに見えるというキャラクター配置に本作の狂った世界観が表れています。
それにしても本作はその完成度と言い呪縛としての家族がテーマである点と言い、浅野忠信主演の『淵に立つ』にかなり近い印象でした。
非婚・晩婚・少子高齢化で確実に滅びの道を歩んでいる現状の日本で、これらの映画が立て続けに公開されたのには何か重要な意味があるような気がしてきます…(^_^;)

淵に立つ

 

※ ネタバレ警告※ 
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!

救いようの無いクズ

本作の何が不快って、父親=葛城が自分は一切悪くないと心の底から思い込んでいることです…!
8人殺したミノルでさえ自分が矮小なクズでしかないという事実を「超越者のフリ」で糊塗していたとジュンコの前で認めたのに、父親と来たら全ての元凶であるにも関わらず最後まで自分を哀れむことにしか興味がありませんでした。
その性根が饒舌に語られるラストはもう衝撃の一言。
結局ミノルの魂を救うことが出来なかったと悔やむジュンコに、前触れも無く唐突に肉体関係を強要する葛城。
視聴者ともども混乱・当惑するジュンコに対して葛城は「こ、今度は俺の家族になってくれ!3人殺せばお、俺と結婚してくれるか!?」と仰ります。
あまりの発想の自由さに開いた口が塞がりません。ジュンコの「あなたそれでも人間ですか!!」の怒りの叫びはそのまま視聴者・観客の魂の叫びです。人間の善性の狂信者であるジュンコでさえ、彼の人智を超えたクズっぷりの前にはその信念を粉砕されてしまったのでした。
まったく救いがありません。と言うか救いようがありません
今まで見てきたどんな映画のキャラクターよりも不快です、葛城。まさか『トガニ 幼き瞳の告発』のクソ教師どもが可愛く思えてくる日が来るなんて…( ;∀;)
しかし真に不快なのは、そんな葛城と自分はどこか似ていると観る者に思わせる巧みな作劇です。なにしろ葛城は前述通りスペック自体は父親として至極まっとうで、本人もそう自覚しているのです。逆に言えば世の「父親」の誰もが葛城になり得るという話です…。

意地が悪いことに「人並みの幸せを享受しみんなが笑顔だった頃」の葛城一家も回想シーンとしてチラッと登場します。今は幸せな家族でも地獄はそのすぐ傍までひそかに迫っているのかも知れない…と強烈に印象付ける上手い仕掛けです。

あ~厭な気分!!



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