『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』第10話の感想をお送りするぜ!
とうとう最終回だ!
もうね、意外なほどすげー綺麗に終わったよ。
いっこ前の話では「これどうやって収集つけるんだよ!?」と不安になったけど、見事に有終の美を飾ったよ!
ラストで未練がましく続編への布石を打っちゃうのは海外ドラマの悪しき伝統だけど、『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』最終話は1時間10分という若干長めの尺をフルに使って丁寧に伏線を回収しまくり一切続編作る気がないスタンスを存分に誇示してきたぜ。
話自体もアグレッシブに泣かせにきており、素直にホロリとしちゃったね。
以下の記事 ネタバレ注意!!
結末(ネタバレ注意)
ヒルハウスを焼き払おうとするルークだったが、逆にポッピーの手に落ち「赤の部屋」に囚われてしまう。
そして残りの兄妹も次々赤の部屋に囚われていく…。
あわや全滅と思われたがそこへ亡霊ネルが現れ、ルークを含めた全員の命を助けてくれる。
屋敷を脱出し車に飛び乗るクレイン家の面々。
しかしヒューだけは残り、亡霊としてオリヴィアとネルとともに未来永劫屋敷に留まることを選ぶのだった。
一連の事件を経てクレイン家の兄妹らは自分の心の闇を克服した。
スティーブは父親を許し、自分の家族を持つ決心をする。
シャーリーは秘密を明かし夫婦のわだかまりを解消する。
テオドラは他人との間に壁をつくることをやめる。
ルークは麻薬を絶ち続ける。
そしてヒルハウスは今も森の奥にひっそりと佇むのだった。
赤の部屋
という訳でまさかのハッピーエンドだったよ『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』。
そして前述通り伏線回収が丁寧。
中でも、散々引っ張って来た「赤の部屋」の正体には度肝を抜かれたね。
ルークのツリーハウス。オリヴィアの読書部屋。テオドラの一人エアロビクス教室。
全部赤の部屋だったんだね。
開かずの間どころか開きまくってた訳だ。誰にも認識されないままゆっくりと彼らを侵食していた…屋敷の「胃」の部分として。
しかも「部屋の間取り」や「窓の形」でこのオチへ向けてちゃんと伏線張ってるのが凄い。なんだっけほら、どんでん返しで守らなきゃいけないルール…あ、アレだ「ノックスの十戒」! アレをちゃんと順守してるってワケさ。お前さんやるねえ!
あとルークの回想に出てきた怖いのっぽさんが、なぜあんなにものっぽさんなのかさえもちゃんと語られてた。…でもそこは別にどうでもよかったかな( ̄▽ ̄;)!!
いっそ亡霊になっちゃえばいいじゃん
ただ、ハッピーエンドありきになってて話の運びが強引だったのは否めない気がする…。無理やり「イイ話」にしようとしてるよねこれ?
たとえば噓つき悪霊のポッピーはどうよ。
てっきり何らかの形でトドメをさされて「グハッ…小癪な人間どもめ!だが憶えておくがいい、人の心に闇がある限り我は何度でも甦るぞ…何度でもなァ!ぐぎゃああああ!!」→消滅 みたいな感じで退場すると思ってたのに、まさかの無罪放免。
割と元凶的な存在だったのにコレでええんかい。
ポッピーもまたヒルハウスに囚われた被害者の一人なのです、許しておやりなさい…的な菩薩styleってわけかい。
それに物語に救いを付与しようとするあまり、ヒルハウスで亡霊と化すことに何のデメリットも無くなっちゃってる気がするのだがこれもどうよ。
ネルだって一つ前の話ではおぞましい首折れ女の姿だったのに、最終回では多少血色が悪いけどメイクばっちりで登場。全然悲壮感ない。首も元通り。
「終わりのない飢えと寒さに苛まれ続ける」とか「死の苦痛がずっと続く」とか何かあるだろ、亡霊として屋敷に囚われることの不利益がさ!
「屋敷から出ることが出来ない」とかも無いしな。割と自由にウロウロしてたもんねネル。
とにかく亡霊の定義があやふやなので腑に落ちない。
いっそのこと家族仲良くヒルハウスで心中したらみんなハッピーなんじゃない?と思えてくるくらいだ。
大団円
と、まあ細かい整合性に茶々を入れたくなるのは事実だが、一本のドラマとして面白かったのもまた事実だったさ。
物語は始まった時と同じようにスティーブの独白で〆られる。
始まりが終わりと重なる、いわゆる円環構造ってやつだね。
しかしスティーブの独白は、文章こそ同じだけど第1話の冒頭とは込められた意味が違う。
スティーブら兄妹は両親とお互いを許し、人間として一歩前に進んだのだ。
とにかく怖い『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』だったけど、見終わった後は意外なほど爽やかなな気分になれる逸品だったぜ! アディオス!!