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結末から逆行する田舎町の殺人事件『美しい湖の底』 ※ネタバレあり

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おすすめ度




 □


□  5点
【あらすじ】
シマー湖のほとり、平和な田舎町で銀行強盗事件が発生する。
容疑者はエド、アンディ、クリスの三人で、いずれも地元のおっさん。そして事件を追う警察官ジークはアンディの実の弟だった。
事件に関与した人物が次々と殺されていくなか、犯人たちの追跡は難航する。
物語は金曜日から始まり、実際に銀行強盗が起きた火曜日まで一日ずつ逆行して描かれていく。事件の最初に立ち戻ることで見えてくる衝撃の事実とは!?


ひとまずネタバレ無しの感想

時間軸を逆にさかのぼる面白さは、先に結果を描写した後でそこへ至った理由が描かれることです。言い換えれば「結果」の因果関係を探りつつ、あとから描かれる「原因」で答え合わせが出来るという楽しみです。
このコンセプトの究極形はクリス・ノーラン監督の『メメント』でしょう。

メメント (字幕版)
10分しか記憶が持たない主人公とともに観客は「いま何が起きているんだ?」
「いったい何の話をしてるんだ?」
「て言うかこいつ誰だ?」などの不安と混乱を共有し、時間を逆行しながら徐々に驚愕の真実へ迫っていく訳です。

30歳の若さでこのエポックメイキングな金字塔を打ち立てたノーランはまさに天才中の天才。

ただし本作はどちらかと言えばタランティーノの『パルプ・フィクション』に近かったです。「何曜日」という章の名前がバン!と表示され「アンディが湖に向かう」と言った具合でその章の内容を一言でまとめたテロップが出る演出もまさにタランティーノ節
ここが本作の面白いところでもあり辛いところです・・・。
と言うのは
そもそも時間逆行で描く必然性が乏しいのです。
偉大過ぎる先輩たちにあやかろうという意識は十二分に見て取れるのですが、
『メメント』のような時間逆行型でないと表現できない要素はなく、『パルプ・フィクション』のような複数のエピソードが時系列も含めて複雑に絡み合う要素もない。

加えて語りの工夫も今一つです。事件の途中から話が始まる構成のフォローが無く、登場人物の説明が一切ないまま話が進みます。まー分かりづらい。半ばまで映画が進んだところでようやく全体像が見えてきた感じです。敢えてだとしたらあまり優れた手法とは言えないと思います。
偉大な先達の形だけ真似てみました感がどうしても拭えないです。



ほとんどコメディ

22ジャンプストリート (字幕版)
監督のオーレン・ウジエルは本作が初監督作品。過去には快作アクションコメディの続編『22ジャンプストリート』の脚本もこなしていました。
そのギャグセンスは今回も発揮されており、本作は全体的にユーモラスな雰囲気が漂います。

ここはなかなかグッドです。話全体のシリアスさを損ねることなく、
事件に関わる冴えない人物たちがおもしろおかしく描写されています。
オープニングの湖面を映すカットで「この湖の底に誰かの秘密が沈んでいる…」という不穏な顛末を不気味に強調する一方で銀行強盗のシーンでは

「配電盤を破壊して金庫の電源落とすで!」
 →「うおーーーっ全然壊れへん!!(ガンガン!)」
 →「うおーーーっめっちゃ叩いとるのにビクともせん!(ガンガン!)」
 →「・・・あ、スイッチあったわ(ポチー)」

などしょうもないベタギャグを披露してくれるのでギャップが心地よいです。

コメディ映画の鉄板アイテム、オゲレツな下痢便排泄音も景気良い奴がでてきます。ブリブリと。

また、FBIと言えばイナカの警察とは一線を画すキレ者として描かれるのがお約束ですが、本作では全くやる気のないアホ二人として描かれるのも緩さ増します。
おふざけに特化した
『22ジャンプストリート』
とは別のコンセプトながら、ほとんどコメディとカテゴライズしても良いほどの笑い盛り。
『22ジャンプストリート』も面白かったしね!

 

※ ネタバレ警告※ 
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!



全体としては・・・

しかし例によって作品全体としては悪い意味でユルいです。
最終章である「火曜日」にはすべての真相が明かされます。
なんと真犯人は銀行強盗を追っていた側の警察官ジークでした。

銀行強盗犯一味は全員「エドの息子が事故死した」ことに何らかの関与を持っていました。実はこのエドの息子、エドの奥さんとジークの間にできた子だったのでした。息子を死なせておきながら金の力で罪を逃れたエドや、それを幇助したアンディたちが許せない!ジークは連中をたきつけて銀行強盗を強行させしめ、仲間割れで自滅するように仕向けて復讐を果たしたのです。

・・・っておいちょっと待て!(*`Д')
ひとの奥さん孕ませといて生まれてきた息子を認知せず、こっそり黙って旦那に押し付けるってどんな父親だよ
あげくその息子が事故死したら責任は全部他人に押し付けて「お前らのせいで俺の子供が死んだ!許せん!」って自分勝手にもほどがあるだろ!全部お前のせいじゃん
さらにその気に入らない連中を復讐と称して殺して回るのだからもう、完全にどうかしています

計画がユル過ぎて要所要所で偶然に頼っているところも興醒めです。そうそう都合よく運ぶものかよ!

衝撃の結末とは、小悪党が真性のサイコパスに抹殺されるというオチでした。脱力感が衝撃と言えば衝撃。
どうにも「時間逆行」ありきでその他の要素の緻密さを欠く感じです。うーむ。

とは言え実は結末は予想できず、結構驚かされてしまいました。ユルいなーと思いながらボーっと見てたらあっさりミスリーディングに誘導された感じです。実は計算のうちだったりして。
『美しい湖の底』はnetflixで見放題配信中です!

追記:ジークを演じたベンジャミン・ウォーカーは今日誕生日だったみたいです。ごめんな、ボロクソ書いて・・・(´・ω・`)

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