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相棒モノにオマージュを捧げる快作『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』

おすすめ度
■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □  9点
もう10年前の作品になりますが、めっちゃ好きな映画がNetflixで配信開始されましたのでこれを機に思いを綴ってみたいと思います。まあAmazonプライムビデオなら随分前から見放題でしたが!
ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』です。
エドガー・ライト監督+サイモン・ペッグ主演+ニック・フロスト共演による一連の作品は「コルネ三部作」と呼ばれています。

具体的には
『ショーン・オブ・ザ・デッド』
『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』
『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』
の三作品のことを示します。
ちなみにコルネとはイギリスのアイスクリームの商品名…らしいですよ。確かに全作品でアイスの包み紙みたいなやつが出てきます。食べたことないけど。

そしてコルネ三部作には製作陣以外にも共通点があります。
過去の偉大なる傑作たちに対する溢れんばかりのオマージュです。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』ではゾンビ映画に
『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』では相棒モノの刑事ドラマに
『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』では侵略系SFに
それぞれリスペクトを捧げまくりです。オタク垂涎の小ネタの嵐です。

加えてエドガー・ライト監督による軽快な編集も相まり、三部作すべえてが超ド級の傑作になっています。
ここが凄いですよね。外れがないってのは1作品当てるよりも尊い(無意味に偉そう)。

ってな訳で相棒モノの刑事ドラマ好きな私にとっては本作はツボ中のツボ。好きじゃない訳がないじゃない!!

That is what I'm talking about.

具体的にどこがそんなに好きなのかって、サイモン・ペッグがカッコイイところです!

彼はコルネ三部作の他の二作では大人になれないダメな中年を熱演しています。関連作の『宇宙人ポール』でもこの路線を踏襲して安定のダメ中年ぶりを発揮します。

『スタートレック』シリーズや『ミッション・インポッシブル』シリーズにも引っ張りだこな売れっ子ペッグですが、これらの作品でも完全なギャグ要員。ダメ人間でこそないけれど、シリアスな本編の合間のアクセント係です。『ミッション・インポッシブル:ローグ・ネイション』に至っては囚われのヒロインでさえあります。

もともとがコメディアンなので当然と言えば当然なのですが、ことほど左様にコメディリリーフの面が強いサイモン・ペッグ。

しかし本作では一味違います!
本作でペッグが演じるのは超デキる刑事、ニコラス。あまりに優秀過ぎてロンドン警察では周囲の妬みを買いド田舎に左遷されてしまいますが、左遷先でも抜群の働きを発揮し田舎に巣食う邪悪を暴き出していきます。

めげない、ブレない、そして強い。
一人前の男が持つべき要素をすべて兼ね揃えています。
サイモン・ペッグにあるまじき冴えっぷりです!

そのカッコよさが最も爆発するシーンがこちら。

詳しく書くとネタを割ってしまうのでざっくりですが、ニコラスの相棒のダニー(ニック・フロスト)にも映画終盤で決断が迫られるわけです。
これまで通り嫌なことから逃げて過ごすのか、それとも友と一緒に立ち上がり戦うのか・・・。
ついに決断を下したダニーにニコラスはこう言いながらショットガンを投げ渡します。

That is what I'm talking about.

んほおおお!燃えるうーーー!!

『That is what I'm talking about.』は直訳すると「それは私が話題にしている事柄です」となり意味不明ですが、実際には「そうこなくっちゃ」的な同意を示す慣用表現だそうな。他の映画でもしばしば耳にします。

真の相棒同士である二人の間には多くの言葉は要らない。この一言だけで十分なのです。
往年の傑作『ワイルド・バンチ』のLet's go.→Why not.に通じる熱さがあります!

んほおおお!燃えるうーーー!!(2回目)

普段がギャグ要員のサイモン・ペッグだからこそ見せられる、ここ一番の男気!!
ドラえもん映画版でジャイアンが急に頼りがいを発揮し、普段との落差から余計にカッコよく感じる『映画版ジャイアンの法則』の応用みたいなものでしょう!たぶん!

『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』はNetflixか、もしくはAmazonプライムビデオで見放題配信中です!

エドガー・ライト最新作は今夏公開予定

コルネ三部作ののちエドガー・ライトはマーベルシネマティックユニバースの『アントマン』の監督に抜擢されました。これで名実ともに世界屈指のヒットメイカーに!
・・・と思いきや、なぜかライトは同作を製作半ばで降板してしまいました。
どんな事情があったのかは詳しくは分かりませんが、出来上がった映画『アントマン』を観る限りではそこかしこにエドガー・ライト節が見て取れ、離脱前にほとんど完成してたんじゃね?と勘繰らせます。特にマイケル・ペーニャが早口でまくし立てる回想シー
ンのくだりは濃厚なライト感。

で『アントマン』の電撃降板以降は音沙汰なく実にやきもきさせられましたが、そんなエドガー・ライトが物凄そうな映画を引っ提げて戻って来ました。
ベイビー・ドライバー』です。

この…この予告編凄すぎるよ!ここまでワクワク感を煽られる予告編観たことないよ!!

ジェイミー・フォックスにケビン・スペイシーとキャストは超豪華。
当代パニッシャーのジョン・バーンサルも超嬉しい。
そしてキレッキレのカーアクション!
極め付けにIMDbのメタスコアは84点という脅威の高評価!!

これは間違いなく面白いです!
本邦公開は8月19日…ま、待ちきれない!!

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