警察ほど映画のモチーフに向いている職業は無い!
ここではNetflixで観られるおすすめ刑事ドラマをまとめて紹介します。
ここではNetflixで観られるおすすめ刑事ドラマをまとめて紹介します。
目次
殺人の追憶
1980年代韓国。社会を震撼させる連続婦女暴行殺人事件に、都会刑事と田舎刑事のコンビが挑む。壮絶なトライ&エラーの果てに二人は遂に犯人を追い詰めるが、その後事件は衝撃の顛末を迎えることに…。
韓国の誇る鬼才ポン・ジュノの初期作です。
そのハードな内容がコアな映画ファンの心をガッチリキャッチし、映画秘宝では00年代映画ベスト1位に選出されていました。
映画自体は完全にフィクションですが、反政府勢力の抑圧に忙殺されて治安維持がおろそかになっていた1980年代当時の韓国の情勢がバックボーンに描かれます。本作をはじめポン・ジュノ監督作では、こうした「時代」や「政治」や「制度」など個人ではどうにもならない要素のせいで不幸な目に遭っていく弱者が繰り返し描かれていますね。
田舎刑事ことソン・ガンホの泣く子も黙る無能ぶりがユーモラスに描かれるのが見どころ。
容疑者の拷問や自白の強要は朝飯前。婦女暴行事件なのに現場に陰毛が落ちていなかったことにやたらにこだわり「わかったぞ・・・犯人は陰毛が生えていないんだ!」という名推理を披露。パイパン野郎を探して自ら近所の銭湯に足しげく通い体がふやけていきます。
まったく笑えないこのダメ警察ぶりをあえてコミカルに描いているところに、韓国国民の警察に対する根強い不信感が垣間見えます。
ラストシーンの視線の意味など、解釈が分かれる要素もふんだん。内容について誰かと語り合いたくなること請け合いの傑作です。
LAコンフィデンシャル
1950年台シカゴ。ギャングと汚職が幅をきかせるこの暗黒の街で、飲食店の客が複数人惨殺される事件が発生。被害者のうち一人は元警官だった。捜査に乗り出す3人の刑事はそれぞれの困難と直面していく・・・。
夜の街の犯罪映画、いわゆるフィルム・ノワールの金字塔です。
主役にあたる3人の刑事が全員極めて個性的かつ魅力的。
エド(ガイ・ピアース):燃える上昇志向のインテリ刑事。出世の為なら同僚の告発も躊躇しない。しかしその出世欲は父から受け継いだ熱い正義の心に根差している。
ジャック(ケビン・スペイシー):刑事ドラマの監修を引き受けたことでタレント化している人気者。しかしその正体は記者と癒着し小銭を稼ぐ悪徳警官。日々を謳歌しているように見えるが、本人の魂はなぜか満たされない。
バド(ラッセル・クロウ):幼少期のトラウマが原因で女を殴る男に異様な憎しみを抱く。絵に描いた様な猪突猛進タイプの男だが、悪を許さない気概は本物。
どうです?3人ともグッと来るキャラクターだと思いませんか?
キャスト達もこの映画を契機に躍進し、いまや3人中2人がアカデミー賞俳優ってんだから凄い。
キャスト達もこの映画を契機に躍進し、いまや3人中2人がアカデミー賞俳優ってんだから凄い。
二転三転するストーリー展開も驚きに満ちており、特に「ロロ・トマシ」という人物名のヒネった使い方は頗る秀逸。
今まで観てきたどんな映画よりも「カッコいい」映画です。警察映画というジャンルを超えて映画史に燦然と輝く大傑作です。
ディパーテッド
表向きは警察だが真の姿はギャング組織の内通者。
表向きはギャングだが真の姿は潜入捜査官。
真逆の立場の二人は次第に数奇な宿命にとらわれていく。
同年のアカデミー賞作品賞に輝いた恐るべき力作です。香港映画の傑作『インファナル・アフェア』のリメイクでもあります。
『インファナル・アフェア』自体がそもそも最高過ぎたので、いまさら二番煎じのハリウッド版なんて興味ねーよと長らく食わず嫌いで観てませんでしたが・・・いざ観てみるとびっくりめちゃくちゃ面白い!
スコセッシとデカプーのタッグは最強だってはっきり分かんだね。
スコセッシとデカプーのタッグは最強だってはっきり分かんだね。
原作には登場しないめっぽう口の悪い警官役をマーク・ウォルバーグが熱演しています。このキャラが重要な役割を担うので結末も原作とは違うものになっています。リメイク作だからと言って見知った物語同じとは限らない・・・これには本当に驚きでした。
クライマックスのさりげなくとんでもないことが起きる演出には脱帽です。
新しき世界
ジャソンは巨大犯罪組織の重役として敏腕を振るう切れ者だが、その正体は潜入捜査官。
長年の潜入捜査に疲弊していた彼は、上司にコキ使われる警察としての自分と兄貴分に頼りにされているヤクザとしての自分のどちらが本当か分からなくなってきていた。そんな折、その犯罪組織を壊滅させる絶好のチャンスが訪れる。
上の『ディパーテッド』しかり、潜入捜査ものにハズレなし!
潜入捜査官なんか身分がバレたら良くてその場で射殺、悪くてギチギチに拷問されます(ハードな拷問シーンから映画が始まるのでこの説得力が半端じゃない)。失敗=即・死という極限状態で毎日を過ごすジャソン。
この緊張感を下敷きにしつつ、ストーリーが進むほどにアッー!潜入捜査官であることがバレちゃうよー!のサスペンスが加速します!怖い!
暴力描写も全編かなり凄惨で、作品全体が容赦ない雰囲気。それでいて終盤の展開には男同士の絆にグッとくる…!
韓国映画の良さを詰め込んだ孤高の傑作ハードボイルドです。
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エリート・スクワッド
ナシメンテ大佐はブラジル警察特殊部隊、通称『BOPE』の中心的人物。しかしいつ死ぬとも知れない命懸けの日々と終わりの無い犯罪との闘い、そして崩壊寸前の夫婦生活などが重くのしかかり今やナシメンテ自身が壊れる寸前だった。彼は自身の引退を見越して後継者の育成に乗り出すが…。
ブラジル、リオデジャネイロという聞くからに治安悪そうな街を舞台にしたハードな警察ドラマです。実際治安めっちゃ悪く、警察自身も悪に染まらざるを得ない現実が浮き彫りになっていきます。
実は本作『エリート・スクワッド』はブラジルの治安をテーマにミクロの視点を描いたところで終了し、これから!という所でエンドロールが始まってしまいます。
ナシメンテの本当の戦い、そしてブラジルの現状をマクロの視点で描いた監督の真の主張は続編『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』で遂に語られるという構成です。
という訳でタイトルだけ見ると同じ映画かと思ってしまうような酷い邦題ですが『エリート・スクワッド』→『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』のセットで観るのを強くお勧めします。
監督のジョゼ・パリージャはリメイク版『ロボコップ』でハリウッド進出を果たすものの、同作の不評から躍進することなくそのまま沈没してしまいました。しかしそこを拾ったのがNetflix。ナシメンテ役のヴァグネル・モウラと再び組んだテレビシリーズ『ナルコス』で現在進行形で気炎を上げまくりです!
バッドボーイズ2バッド
マーティン・ローレンスとウィル・スミスの黒人刑事コンビが街を半壊させながら悪者を追う!
マンガ『木根さんのひとりでキネマ』のセリフを抜粋すると「ハリウッド映画を揶揄するとき人は低俗 軽薄 陳腐と言葉を並べるけど、それらを5億倍に濃縮してインテリ気取りのすかし豚共をブン殴るのがこの映画(バッドボーイズ2バッド)よ!」
↑的確すぎる表現に脱帽です。まさしくその通り!本作はマイケル・ベイ監督のダメなところと良いところを両方とも限界まで詰め込んだオゲレツエンターテイメントであり、芸術的価値は皆無ながら後の映画史に(良かれ悪かれ)多大な影響を残した記念碑的作品です。
全然好きな作品じゃないけど、一度は観てみる価値アリと思います!
ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
ロンドン警察に務めるニコラスは超有能な完璧警官。しかしその完璧さが周囲の嫉妬を買い彼はド田舎に左遷されてしまう。左遷先で相棒モノ映画オタクのダニーと新たにコンビを組むが、平和な田舎では特に事件など起きず砂を噛む毎日…。しかしこの平和の裏にこそドス黒い秘密が隠されていた!
上の『バッドボーイズ2バッド』をはじめ数多の相棒モノ刑事ドラマにオマージュをささげるアクションコメディです。コメディと言えど根幹のサスペンス部分はすこぶるしっかりしており、終盤の怒涛の伏線回収がとってもカタルシス!
刑事ドラマオタクに過ぎなかったダニーが真の友情に目覚め、彼なりの決意から行動を起こすシーンに熱い涙がほとばしる!
それにしてもエドガー・ライト監督作には全くハズレが無いのが凄い。最新作『ベイビー・ドライバー』も超傑作でした!
エンド オブ ウォッチ
ロサンゼルスの超治安悪い地区に勤務する二人の警官。相棒同士として活躍をする彼らの日常が描かれる。
POV形式(=主観形式) の映画であり、劇中の映像はすべてパトカーのドライブレコーダーや事件記録の為に回したビデオカメラの録画データという設定。
デヴィッド・エアー監督はロサンゼルスの超危険地帯「サウスセントラル区」で実際に少年時代を過ごしており、本作はそんなガチの元ギャング歴がフルに活かされた個性派刑事ドラマです。
POV形式と言えば『パラノーマル・アクティビティ』のヒット以来乱発され過ぎていい加減飽き飽きですが、本作は凡百なモキュメンタリーとは一線を画し全編が真に迫る生々しさです。実際にその土地柄を知る人間ならではのリアルな緊張感があります。
主役二人の陽気なキャラクターと、いつ誰が死んでもおかしくない過酷な職場のギャップが不吉な顛末を予感させ、観る者の意識をガッチリ掴んで放しません。
アンタッチャブル
禁酒法時代シカゴ。絶大な影響力を持つマフィアの首魁アル・カポネを倒すため、決して買収されない刑事たち=アンタッチャブルが立ち上がる。
禁酒法時代における伝説の刑事エリオット・ネスを描いた往年の傑作です。彼を演じる若かりしケビン・コスナーが超絶男前。
映像の魔術師ことブライアン・デ・パルマの卓抜したセンスが堪能できるのも魅力で、中でも最高なのは「駅の階段とベビーカー」のシーン。
重要参考人を捕えるためにエリオットたちは駅の階段で待ち伏せをするのですが、間の悪いことにそこへ赤ちゃん連れの母親が通りかかります。もうすぐそこは銃撃戦になるかも知れないのに、一段一段えっちらおっちらベビーカーを引っ張り階段を上がっていく母親。仕方なくエリオットは母親に手を貸しますが、更に間が悪くそこへターゲットの参考人が到着。いきなり銃撃戦に発展します。
轟く銃声。飛び交う弾丸。舞う鮮血と倒れていく男たち。そして駅の階段を転がり落ちていくベビーカー。
全てがキマりすぎて見返す度に鳥肌立ちます。カッコよすぎてむしろ泣けてきます。
もう30年前の作品なのでクラシック映画の領域ですが、このカッコよさだけは決して色褪せません!
友よさらばと言おう
2014年 フランス
監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ヴァンサン・ランドン、ジル・ルルーシュ
警察官でありながら飲酒運転で人身事故を起こした罪に問われ、仕事も家族も失った男。出所後も抜け殻のような生活を送る男だったが、離れて暮らす息子が犯罪組織に追われていると知った時、かつての相棒とともに再び戦う覚悟を決める!
『この愛のために撃て』などの傑作を惜しげもなく連発するフレッド・カヴァイエ監督。本作はそんな彼独特のハードボイルド描写が冴え渡る逸品です。
警備会社職員として無気力な日々を送る主人公は同僚の青年がいじめられていても知らんぷりなのですが、ストーリーが進んで息子を守るためにもう一度戦う決心を固める段になると、いじめっ子の巨漢をヘッドバット一撃で沈黙させ無言で去っていくシーンが頗るかっこいい。
セリフで説明しない雰囲気はいかにもフランス映画らしいですね!
セリフで説明しない雰囲気はいかにもフランス映画らしいですね!
バディものと言えば反発し合いながらも強い絆を結ぶ主役二人というのがお約束ですが、本作では一味違う展開になる所がミソ。
相棒がなぜそこまで身を挺して主人公を助けるのか・・・その理由があまりにも苦く、多くを語らないスタイルもあいまり強い余韻を残します。
相棒がなぜそこまで身を挺して主人公を助けるのか・・・その理由があまりにも苦く、多くを語らないスタイルもあいまり強い余韻を残します。