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『ブレードランナー2049』考察 Kは結局何者?デッカードは人間なの?※ネタバレ全開注意

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前回の感想記事と一緒にしようとしてたけど、長くなったので別記事にしちゃいましたよ。

本記事は『ブレードランナー2049』の考察+思ったことを書きとどめておこう的なユルい文章です。
映画や哲学に大した造詣のない人の考えることなので、間違ってたり浅かったりしても目くじら立てずにオブラートに厳重に包んで指摘してね!
もしくは生暖かい目で見守ってね!

あとネタバレ全開なのでそこんとこヨロシク!!

ブレードランナー 2049 (吹替版)

 

考察① Kは一体何者なのか?

私が本作『ブレードランナー2049』(以下『2049』)に今一つ感情移入できなかった最大の理由は、主人公であるKが正体不明過ぎたからです。

主人公が正体不明の映画と言えば最近公開された『ダンケルク』もそうでした。
が、あれはあくまで「戦場に流れる時間」が主役の映画。主人公のトミーを含め登場キャラクターはみな「戦場に流れる時間」の一要素でしかなく、だからこそ人間性の掘り下げを大胆に省略して逆にテーマを明確化せしめている訳です。
『シン・ゴジラ』なんかも同じ芸風ですね。

しかし『2049』はまさにKが自らのルーツを探っていく物語であり、Kそのものの話です。
それなのに当のKがこんなにも訳わからん存在じゃ観客はどこに共感すればいいんだよ!と申し上げたい!

 

 

木馬の記憶は何だったのか

Kは自分の幼少期の記憶が現実と合致したことから、自分こそがデッカードとレイチェルの間に生まれた子供であると予感し始めます。

しかしレプリカントは大人の知能と肉体を持った状態で製造されるもの。幼少期の記憶は精神のバランスを保つために後から植え付けられた一種の装置でしかありません。
そこで人工記憶の第一人者であるアナ・ステリン博士に会い自分の記憶の真偽を確かめてもらったところ、アナは涙を流しながらこれは本物の記憶である=作られたものではないと断言します。

この後のKのリアクションがよく分からない。
「本物だと思ってた…」「本物だと…」「チクショー!!」
(I know what's real. I know what's rea...GOD!COME ON!)
つまり…どういうことだってばよ
予想通り本物だったんじゃないのかよ。なんでチクショーなんだよ。

Kは「自分がレプリカント同士の間に生まれた運命の子であると信じたくなかった」ってこと?
その割には映画の後半で自分が運命の子ではないことを暴かれると露骨にガッカリしており、どういう気持ちの変遷があったのかよく分かりません。

運命の子だと思ってアイデンティティーがゆらいだけど、しばらくしたらそれも悪くないかなと思い始めていたってことかしら。

 

 

じゃあKはどこから来たのか

アート・アンド・ソウル・オブ・ブレードランナー2049

記憶の中でいじめっ子たちにボコられていた子供は一見すると少年ですが、実は少女。幼少期のアナの姿なのでした。
Kはその記憶を植え付けられたオトリで、将来アナを探しに来るであろうウォレス社の追跡者がKを運命の子と勘違いするように仕掛けられたレプリカント革命軍のトラップだったのです。

ってちょっと待て!それいつ誰が仕掛けたトラップなんだよ!
素直に考えれば革命軍の誰かがKの初期製造段階で細工を施したということなのでしょうが…。
レプリカントが真空パックみたいな装置からニュルンと出てくるのはウォレス社の中であって、そんな製造段階に手を加えられるのは当然ウォレス社の関係者に限られます。

ならウォレス社に誰か協力者がいたってことでしょうか?
でもそんな描写これっぽちもありませんでした…。と言うかウォレス社に協力者がいるならもっとやりようがある気がします。

しかもこのトラップ、作動してません
Kが運命の子だと思っていたのはKだけです。

ウォレス社も完全にKのことはスルー。拉致しようとすれば出来たのに、フルボッコするだけして後はデッカードに夢中でした。

トラップはKのアイデンティティーを揺さぶっただけで何の役にも立ってません。

記憶が別人のものでも「私」は「私」でいられるか…という命題は本作の核でありその実存主義的なアプローチは十分に堪能できましたが、ストーリー上の整合性はプアーと言わざるを得ません。
(´・ω・`)ショボーン

ただし。
感情移入できないって書いちゃったけど、ラ・ラ・ライアン・ゴズリングの「燃える魂を氷の肉体に封じ込めている」演技は超傑作『ドライヴ』を彷彿とさせ見ごたえ抜群でした!そこは素直に感動!

 

 

考察② アナは何者なのか

デッカードとレイチェルの間にできた「運命の子」であるアナ・ステリン。

生まれた直後にどういう訳だか劣悪な環境の孤児院に放り込まれ、その後どういう訳だかガラスの無菌室で生活するようになり、その後さらにどういう訳だか両親のカタキであるウォレス社に就職するという数奇過ぎる経歴の持ち主です。

って言うか謎だらけ。彼女は一体何者だったのでしょう?

 

 

免疫不全症は本当か?

嘘でしょう。
はっきりした根拠は明示されませんが、もし無菌室でしか生活できない虚弱体質ならあの孤児院で野垂れ死に必至です。

追っ手の目をかわすため堂々と「世間から隔絶された存在」を演出する必要があったのではないでしょう。

 

 

アナは自分が「運命の子」であると知っていたか?

これも知っていたと考えます。
その根拠はKの木馬の記憶を閲覧して流す涙。初見時はあの不自然な涙の意味が分かりませんでしたが、最後まで観てから改めて考えるとボコられた辛い記憶が蘇って思わずポロリという意味でしょう。

もしくはアナのオトリに仕立て上げられ、そのせいで自我の不確かさに苦しむKを哀れんだのかも知れません。

いずれにせよあの涙を見れば、アナは自分の正体を知っていたのだと思われます。

 

 

なぜウォレス社に就職したのか?

灯台もと暗しを狙った…のかも知れません。
たぐい稀な「記憶ねつ造」の才能があったのは偶然の一致でしょうか。

 

 

Kは彼女がデッカードの娘だといつ知ったか?

こればっかりはいくら考えても分かりません。
はっきり言って凄い唐突

フレイサが教えた?→自分たちの正体を隠すためにデッカードをも暗殺しようとする過激派がうかつに切り札をさらすとは思えない。違うでしょう。

デッカードが教えた?→ラストにKに頼んで娘のところまで運んでもらった? でもあの時はKの方からデッカードを娘に会わせると言っており、順番が逆でつじつまが合いません。

分かりません。何にせよ取ってつけたようなオチだと思います(*・ε・*)

 

 

考察③ デッカードはレプリカントか

「ブッチとキッドはオーストラリアに行けたのか問題」
「インセプションのコマは回り続けたのか問題」
などと並び多くの映画ファンを喧々諤々の論争に叩き込み続けてきた「デッカードはレプリカントなのか問題」。

ブレードランナー ファイナル・カット(字幕版)

本作でついにその答えが明かされるのかと思いきや、またはぐらかされました。
オーケー、謎は謎でこそ美しい。これでよいのだ。よって答えは「不明」です。

ですが実はデッカードがレプリカントじゃないとストーリーの背景が成り立ちません。逆説的ではありますが当ブログはデッカードはレプリカントである説を支持します。

なにしろ本作最大のキーワードは「レプリカント同士での繁殖」であり、運命の子の存在はそれが可能である(=レプリカントと人間は同等の存在である)と示唆する証拠になるというものでした。
だったらデッカードがレプリカントじゃないとおかしいじゃん!という訳です。

「人間の男性はレプリカントの女性を孕ますことが出来る」と「レプリカント同士で繁殖できる」では全然意味合いが違います。前者じゃウォレス社長は満足しないよ!

それに
「レプリカントの創造主であるタイレルを殺害したロイ」
「ロイを追い詰めその死を見届けたデッカード」
「そのデッカードが捜査中に恋に落ちたレプリカントのレイチェル」
と来て
「デッカードがレイチェルと駆け落ちしたらできるはずのない子供ができた」
じゃ偶然が重なり過ぎじゃろ

どこかに何者かの思惑が働いていると考えるのが妥当でしょう。
何者とは何者か?当然タイレルです。
レプリカント同士の繁殖はタイレル→ウォレスの2代にわたる悲願だったと考えられます。それに「すべてはタイレルの書いたシナリオ通り説」はウォレスのセリフの節々からも断片的に拾い上げることができます。

デッカードとその子供の行方を巧妙に隠蔽されたのはウォレスの誤算でしたが、レイチェルに子供ができたのはタイレル達にとって予定調和だったのだと推察されます。

 

 

考察④ ウォレスは何がしたかったのか

命の象徴である水で満たされたオフィスが印象的なウォレス社長。
タイレルの狂信者のようでもあり、一方で自分のことを神だと思っている節もあり、とにかく不気味な存在です。
出番が少なくても常に絶大なインパクトを醸し出しますよねジャレッド・レト!

 

目は見えてるの?

あのファンネルみたいな奴で視覚を代替している…かも。

 

できたてほやほやのレプリカントをなんで殺したの?

むしゃくしゃしてやった。

 

レイチェルの出産はいつ知った?

Kが「出産痕のある女性型レプリカントの白骨死体」の身元をウォレス社に照会すると、その事実はいち早くウォレスの右腕であるラヴに知らされました。
明らかに誰かがレイチェルのことを調べに来るのを待っていた挙動です。

そこから分かるのはウォレス社にとってレイチェルは特別な存在であるという事実です。つまりKが白骨死体を掘り起こす前からウォレスはレイチェルが出産したことを知っていたと思われます。

なぜ知っていたか?それはレイチェルが子供を産めるレプリカントだと最初から分かっていたからとしか考えられません。そうでなければ行方をくらましてどこかで出産したレイチェルのことをウォレスが知る機会は無いからです。

だとすればやはり前述の「デッカードとレイチェルが子供を作ることはタイレルによってあらかじめ仕組まれていた」説が裏付けられると思うのですが…どうでしょう。

 

 

考察⑤ ジョイはどうしてあんなに可愛いのか

Kがブレまくりだったのに対し、全編通してひたすら一途な愛を貫いたジョイは最も感情移入しやすいキャラでした。
概念存在なのに誰よりも人間らしさを発揮するという皮肉。スペルは違うけど「悦び」を意味する「ジョイ」と名付けられている点も象徴的ですね。

「人間を作るのはAとTとGとC。私は1と0の二つだけ」にはガツンときました!

her/世界でひとつの彼女(字幕版)

データでしかない存在が生身の身体を借りて愛し合うというシークエンスは『her/世界でひとつの彼女』とよく似ています。

『her/世界でひとつの彼女』のサマンサが声だけのAIだったのに対しジョイは(ホログラムだけど)身体があるので、生身と同期すると腕が4本になったり目が4つになったりでかなり異形な感じ。

それでもホアキン・フェニックスが途中で挫折したのに対しラ・ラ・ライアン・ゴズリングは最後まで致したよ!つわものだ!

そんなジョイの愛もまた、パッケージ化された商品の一つでしかないというオチは痛烈でした。

ジョイのデータを消去されて悲嘆に暮れるKの前にホログラム看板の巨大な全裸ジョイが現れ「坊や~慰めてあげるわよ~」と誘惑してくるシーンには、ジョイの存在の限界というか所詮データはデータという虚しさを覚えさせます。
プログラムされた好意を愛と呼べるかどうかは、本作の核ともいえる深淵なテーマですね。

 

それにしてもかわいいですよねジョイ役のアナ・デ・アルマス。
さすが愛玩用AIと言うべきか「一途」「健気」「大きい目」「ぽっちゃり唇」「ふともも」と世の男性の好みの最大公約数的要素を兼ね揃えています。ナイスキャスティングとしか言いようがありません。

こんなん普及したら少子化一直線ですね!でも『ノック・ノック』観ると同じ女優のクソビッチぶりが堪能出来るので目が覚めるよ!.。゚+.(・∀・)゚+.゚

ノック、ノック(字幕版)

 

 

考察⑥ ドクターバッジャーはガイコツ顔なのか

くだんの木馬が放射能で汚染された木材で作られていることを教えてくれるジャンク屋、ドクターバッジャー。
すげえガイコツ顔だなと思ったら『キャプテン・フィリップス』でトム・ハンクスをいじめてた海賊じゃないですかやだー。
って言うかそんな危険な物質で木馬作るなよデッカード!

キャプテン・フィリップス (字幕版)

 

 

考察番外 どんな話だったら満足だったのか

ノリ切れなかった『2049』でしたが、どんな話だったら私的に満足だったのか少し考えてみました。

 

・Kとデッカードのバディものアクション。
 最初は仲悪い二人が巨大企業の陰謀に立ち向かう内に固い絆で結ばれていく。
 最後の方でデッカードが死にそうになると
 K「そんな…嘘だろ!死ぬなよオヤジ!」
 デッカード「へへっ…やっと父親と呼んでくれたか」(でも違う)

 

・ウォレスは目ん玉潰されて死ぬ。
 目ん玉潰されなくてもいいから、とりあえずラスボスとしてちゃんと殺されておく。
 悪者が倒されてめでたしめでたし!

 

・課金したらジョイがデータ復元して復活する。
 廃課金推奨。

 

・アナとデッカードの感動の再会シーンがある。
 アナが父親と再会している間、Kは雪に埋もれて死ぬ。略してアナ雪
 あ、これ本編でもそうだ。

 

・ラヴはハト持って死ぬ。
 死ぬ前に「ひとつしか無い命を大切にね」系の説教を一席ぶつ。

 

これぐらいやったら愉快痛快ですね!
しかし風情も哲学もあったもんじゃなく、もはや『ブレードランナー』ではあり得ません。本当にこんな映画が観たいのかと訊かれたらやっぱりノーだわ。

そう考えると『2049』は孤高の傑作『ブレードランナー』の続編として唯一無二の「正解」だったのかも知れませんね。
とりあえずもう一回観てきます。

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