■■■■■■■■□□ 8点
【あらすじ】
スーパーマンとの決戦・共闘を経て、地球が邪悪な存在に狙われていることを知ったバットマンことブルース・ウェイン。
脅威に対抗し得る「超人」たちのスカウトに奔走するブルースだったが、チームの結成もままならないうちに遂に侵略が始まってしまう。
ヒーロー達は地球を守ることが出来るのか!?
公開されるや否や大手映画評論サイトのロッテントマトで支持率41%という驚異の低評価を叩き出し、腐ったトマト扱いされてしまった『ジャスティス・リーグ』。
シリーズ前作にあたる『マン・オブ・スティール』や『バットマンvsスーパーマン』のいずれも好評とは言えず、あげく『ジャスティス・リーグ』製作中にもザック・スナイダー監督が身内の不幸から急遽降板したりと公開前からして既に惨憺たる状況だった訳で、低評価だという話を聞いても意外!と言うより「あぁ…やっぱりね」という気持ちが先に立ってしまいます…。
しまいますが…。
実際観てみるとびっくりかなり面白かったです!
いろいろ難があるのは事実ですがそれを補って余りある魅力!
キャラ愛が全編にわたってみなぎっており、大傑作ではないにしても腐ったトマトは言い過ぎだろうと思う所です。やっぱ評論サイトなんてアテにならんね!
ただし最低でも『バットマンvsスーパーマン』は観ておかないと話チンプンカンプンなのでそこはご注意!
『ワンダー・ウーマン』は…もちろん観ておいた方がベターですが、ストーリー上の直接の関連は薄いので観てなくてもギリギリ大丈夫…だと思います!
何にしても変な噂で敬遠するのは惜しい快作です!おすすめ!
思うところが多い映画なので今回は長文で行きます!
ひとまずネタバレ無しの感想
目次
二人の監督が合わさって最強に見える
前述の通り、身内のショッキングな不幸で急遽降板せざるを得なかったザック・スナイダー監督。
代打に立ったのはなんと!ライバル映画『アベンジャーズ』の仕掛け人、ジョス・ウィードン監督でした! 大きな話題になりましたね。
しかしいくら実力派とは言え、途中で監督が代わって映画がグチャグチャにならんかね!?と誰もが心配するところ…。
実際観てみてその点を考察すると…まあいくつか整合性が犠牲になっている点は否めませんが、トータルでは両監督の良い点が融合して上手く機能している!と当ブログは主張したいと思います!
たとえばバットモービルがぶっ放した主砲の薬莢がスローモーションで落ちるカットはまさしくザック・スナイダー節全開!
超クールです!!
ワンダーウーマンたちの予備動作無しで高速移動→減速を経ずにいきなり静止という人外感あふれる超速モーションも『マン・オブ・スティール』からの伝統で、これも「ザックらしさ」抜群。
かと思えばフラッシュことバリー・アレンの痛快なお笑い担当ぶりはジョス・ウィードン監督ならではの余裕ある演出です。
詳しく書くとネタを割ってしまいますが、エンドロール途中の脱力ギャグも『アベンジャーズ』のラストカットを彷彿とさせます。ジョスらしい仕掛けでした。
スナイダー監督のハード&ソリッドな映像センスとウィードン監督の良い意味で肩の力が抜けた雰囲気が合わさり、前作までとは明らかに違う作風になっているのは事実でしょう。
これは個人的に大成功だと思います!
音楽にも大きな変化
本作『ジャスティスリーグ』のメインコンポーザーは大御所ダニー・エルフマン。
前作までのハンス・ジマーからこちらも変更になっています。
その変化はかなり顕著!
「メロディ不在+爆音重低音」という従来のハンス・ジマーな雰囲気を大胆に捨て、ヒーロー映画らしい勇敢な旋律が前面に押し出されています。
ティム・バートン版『バットマン』のテーマやジョン・ウィリアムズの超有名な『スーパーマンのテーマ』がアレンジされて登場するのもこれまでに無い小ネタです。
音楽面でも新しい風を呼び込もうという強い姿勢が伺えます!
※ ネタバレ警告※
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!
スーパーマンが強すぎて全てが茶番に帰す
私が本作をトータルでは楽しめたのは間違いありませんが、許容出来ないツッコミどころが多いのも事実…。
一番声を大にして言いたいのはスーパーマンが強すぎてストーリーが無意味化している!という点です!!
復活したは良いけど自我を見失って見境なく暴れだすスーパーマン。人類最後の切り札が逆に最悪の脅威となり果ててしまう…。一体どうなる!?
という展開までは超・楽しめました!
スーパーマンが悪堕ちするのは原作でも定番ネタですが、ここまで迫力ある映像で綴られると別格!特に超速移動中のフラッシュを目で捉えるシーンの「あ、これは勝てませんわ」感は最高に絶望的!素敵!
でも…。
ひとしきり暴れた後、ロイス・レーンに2分ほど説得されるとすぐにスーパーマンは本来の自我を取り戻します。
あっさり正気に戻りすぎィ!!
逆に暴れてたのは何だったの?寝ぼけてたの?何かストーリー上の意味あった?と言いたくなります。
しかもその後ロイスと一緒に謎の実家参りタイム。
同じ頃バットマン達が割と一刻を争う行動に迫られてるのに、スーパーマンだけのんびり過ごしています(;^ω^)
そのくせその後にスーパーマンが参戦しただけで、それまでワンダーウーマンたちが散々てこずってたラスボス=ステッペンウルフが唐突にザコ化。形勢逆転を通り越して一気に楽勝ムードになってしましまいます。
人命救助の片手間に軽ーくあしらわれるステッペンウルフ。これまでの苦労は何だったの( ;∀;)
「あ、もしもしブルース?俺カル=エル。さっきは出血させてごめんな。遅れるかもしれんけどちゃんと決戦には行くから。ほなな。」の電話が一本あれば足並みが揃って最初から楽勝だったかも知れないという有様。
バカバカし過ぎます。
ステッペンウルフ弱すぎ問題
ラスボスのステッペンウルフがとにかく弱すぎるのも盛り上がらない理由に挙げられます。
前述通り、復活したスーパーマンに成す術もなくボコボコにされるステッペンウルフ。この時のスーパーマンがまたヘラヘラ笑いながら攻撃してくるので、ステッペンウルフのヘボさが余計に際立ちます。
そんなステッペンウルフですが、実は冒頭のアマゾネス襲撃シーンではむしろ怖いぐらいの強さを発揮していました。
アマゾネスたちの見事な連携を強調しつつ、圧倒的なパワーでそれを蹴散らすステッペンウルフ…。
このシーンはまことにカッコよく、ラスボスの強さを印象付けるには十分なインパクトでした。
しかし…。
本作で初登場である自分の設定を限られた登場シーンで観客に伝えなくてはいけないため、セリフのほとんどが自分語りになってしまっており極めてマヌケです。
しかも組織を持っておらずステッペンウルフ以外の悪役は自我さえ持たないザコしか登場しないため、喋ればほぼ独り言。
これはチームで戦うバットマン達との対比になっており意図的なものとは思われますが、演出に工夫が乏しいのでただの友達いない奴にしか見えません。
マザーボックスのありかを聞き出すために関係者を拉致しても、手下が動物レベルの知能なので自ら尋問に乗り出さなくてはいけないのもなんだか哀愁漂います。しかも尋問が生ぬるい。
ステッペンウルフ( ;∀;)
あげく例によってスーパーマンが登場するや否や指先一つでダウンさせられるので、もはや威厳もへったくれもありません。
余りに弱いので『ワンダーウーマン』の時みたいに、更に強大な隠しボスが出てくるのかと淡く期待しましたがそれも無く、アメコミ史上最高に情けないやられ方をしてあっさり退場しました。
ステッペンウルフ( ;∀;)
設定盛り過ぎだが出番は少ないサイボーグ…
限られた登場シーンで設定を観客に伝えなくてはいけないのはステッペンウルフだけでなく、本作初登場のサイボーグとアクアマンも同じです。
この二人のうちサイボーグの扱いが特にひどい…。
「もともと高い知力・体力を持つエリート青年だったが事故で死亡。しかし天才科学者の父親の手によって邪悪な力の源であるマザーボックスを利用し復活するも元の人格と未知のオーバーテクノロジーが融合し、人類にとって救世主となるのか脅威となるのか本人にも分からない」
…という盛りに盛った設定を、あろうことか全部セリフで説明します。荒業すぎます。
あげくキャストは若手レイ・フィッシャー。
アクアマンも初登場キャラとしては同じ立場ですが、演じるのが私のお日様お星様ことジェイソン・モモアなのでその知名度は天と地の差です。
まさにスクリーンの中でも外でもアンタ誰状態。
マザーボックスゆかりのキャラのため味方側の切り札という設定でしたが、これもセリフでそう言っているだけなのでイマイチ重要性が伝わって来ません。
何者なのかよく分からないまま映画は終わってしまいました…。
マーベルシネマティックユニバースが各ヒーローの単発映画をそれぞれヒットさせ盤石の態勢で『アベンジャーズ』の製作に臨んだのとは対称的に、明らかに急ごしらえゆえのマズさが出てしまっています。
やっぱり単発出演映画『サイボーグ』を作ってから『ジャスティスリーグ』に着手するべきだったんじゃ…。
もはや準主役!?大活躍のフラッシュ
という訳で散々クサしてしまいましたが『ジャスティスリーグ』、良い点も勿論一杯あります!
まずなんと言ってもフラッシュことバリー・アレン!!
彼もまた今回が実質初登場のキャラですが、ウザくならないぎりぎりのラインでちょくちょく笑いを刺し挟んできておりムードメイカーとして有能過ぎる働きぶりです!
相当力を入れてフィーチャーされていましたね。
この生意気な感じが『アメイジング・スパイダーマン』のトム・ホランドとちょっと似てると思うのですがどうでしょうエズラ・ミラー。
一番気に入ったのはゴッサム市警の屋上のシーン。
「ゴードン警部補が振り返るとさっきまでそこにいたはずのバットマンが消えている」というシークエンスはバットマンシリーズのお約束。
今回もゴードン警部補が何事か言いながら振り返る訳ですが、当然お約束通りそこにはバットマンはもう居ません。
しかしそのお約束を知らないフラッシュだけ律儀に残ってしまいます。空気を読まず。
「え、あれ?みんなもう行っちゃったの?…えーと…。失礼な人たちだよね!」と居心地悪そうに取り繕いながら超速移動でそそくさとその場を去るフラッシュ。
このアメコミのお約束を逆手に取ったユーモアはまさしくジョス・ウィードン節ですね!
やっぱり素敵!ワンダーウーマン
『バットマンvsスーパーマン』や『スーサイドスクワッド』が良く言って賛否両論だったのに対し、間違いなく絶賛を集めていた『ワンダーウーマン』。
本作でもその人気キャラぶりはすこぶる強調されており、戦闘面でも人格面でも明らかにチームの中心的存在でした。
『ワンダーウーマン』では未熟さが全面に押し出されていましたが、そんな彼女も『ジャスティスリーグ』の時間軸ではすでに歴戦の勇者。まごうことなき「先輩ヒーロー」です。
なのでフラッシュがラッキースケベでワンダーウーマンの胸に顔をうずめてしまっても「あらあら」的な笑みを投げかけるだけでお咎め無し。先輩ならではの至高の余裕。圧倒的ママ感。
あとコスチューム時も私服時もお尻の主張がえらいことになってます。もうパッツンパツンのプルンプルン。
『ワンダーウーマン』の時はあんまり尻キャラ感はありませんでしたが…。これが女性監督と男性監督の視点の違いなのでしょう。
ただ、『ワンダーウーマン』はセクシーさを武器にしない女性ヒーロー像がウケた筈なのに、こんなお尻見せ係みたいな撮り方してDC的にはいいのかな?と心配にならんでもない。
あとブルースとの大人の友情も良かったです。
ダイアナだったらしゃがみ弱パンチで粉砕できそうなザコ敵にも散々苦戦するブルース。若くないうえに所詮ただの人間なので早晩戦いの中で死ぬだろうと覚悟しているブルースが、自分が死んだら後は頼むとそれとなくダイアナに託すシーンが泣ける。
こう言う男の友情みたいな奴いいですよね。いや男同士じゃないけど、恋愛が介在しない強い絆みたいな。
今後のDCエクステンデッドユニバース
ラストにまさかのデスストローク登場で少し盛り上がりましたが、例によって映画は「スーパーマンが一人いれば万事解決」ムードなので、今さらただの人間ヴィランが一人二人出てきたところで何なの?という感じです。デスストローク自体はめっちゃ好きなキャラですが…。
しかもそのデスストロークが登場する予定の『ザ・バットマン』はベンアフ続投可否さえ揉めており、製作自体がまず危ういという噂…。DCの受難は続くようです。
あと本作『ジャスティスリーグ』は製作途中のごたごたのせいで本来の作品の短縮版が公開されてしまったという噂もあります。
確かに、予告編にあった
・ザコ敵を二体一気に串刺しにするアクアマン
・横転するパトカーから警官を守るサイボーグ
・ガシャン!とフルフェイスマスクに変形するサイボーグ
・コップの水面を震わせながら登場した何者かに対して「待っていました」と言うアルフレッド
等のシーンがいずれも使われていませんでした。
予告編の映像が公開時にはカットされているのはよくある話ですが、ちょっと多過ぎやしませんかね。
ストーリーのガタガタ加減から考えても、本来の長尺版はもっと良い映画であるという話は説得力がある気がします。
もし本当に全長版があるならいつかどこかでリリースしてくれ!!
↓こちらの記事ではDCエクステンデッドユニバースについてまとめてみました。よかったらどうぞ!