Netflixではジャズ関連のドキュメンタリーがさりげなく充実しています。いいですよね、ジャズ。
今回はNetflixで観られるおすすめのジャズ映画を紹介します。
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コルトレーンを追いかけて(2016年・アメリカ)
ジャズ界最大の巨人ジョン・コルトレーンの半生を追う直球の伝記ドキュメンタリーです。
師匠にして宿命のライバルであるマイルス・デイヴィスと共演した初期、自分自身の音を追い求めてマッコイ・タイナーらと活躍した中期、精神的に深みを増していった晩期…生涯に渡り進化し続けた奇跡のサウンドが鮮烈に蘇ります。
コルトレーンの歩みはそのままジャズの歴史の歩みなので、ジャズ史初心者にもおすすめです。
なお劇中でインタビューを受ける人物らが豪華すぎ。
ウィントン・マルサリスやウェイン・ショーターら現役ジャズマンらが登場するのはまだ分かるのですが、カルロス・サンタナやドアーズのドラマーのジョン・デンスモアなど「お前らジャズ畑ちがうじゃん!」みたいな連中まで登場。あげく元大統領のビル・クリントンまで飛び出してジャズに関する深い造詣を披露したりとお祭り状態です。
ジャズというジャンルを飛び越え「音」で人類の精神そのものを一段階上に引き上げたコルトレーンの偉業が浮彫にされます。
それにしてもソニー・ロリンズのサンタクロースみたいな意味不明の私服…あれは何なの(;^ω^)
私がモーガンと呼んだ男(2017年・アメリカ)
いわゆるジャズ・ロックの開祖として有名な天才トランぺッター、リー・モーガン。
33歳の若さで妻ヘレンにブッ殺されたというその壮絶な末路を、当の妻へのインタビューで綴るというアグレッシブなドキュメンタリーです。
モーガンの命を奪ったのがヘレンなら、そのモーガンをドラッグ漬けの廃人状態から救ったのもまたヘレンだった…。ヘレンがいなければ数々の名盤は無かったかも知れない訳です。一人の天才をめぐる数奇な運命が浮き彫りになります。
しかもヘレンがモーガンを殺した直接の原因が浮気がバレての痴話喧嘩だったという衝撃の事実まで明らかに。モーガンの華やかなトランペットの音色とは落差あり過ぎの陳腐さに唖然とさせられます。
なお劇中では貴重なリー・モーガンのライブシーンが
満載。やっぱりカッコいい!
満載。やっぱりカッコいい!
ナット・キング・コール/アフレイド・オブ・ザ・ダーク (2017年・アメリカ)
ジャズ・ヴォーカル黎明期の巨人、ナット・キング・コールの半生を追う伝記ドキュメンタリーです。
コールほどの才能あふれる人気者でも1950年代のアメリカでは黒人差別の対象で、ホテルの部屋とかも黒人専用の粗末な部屋にしか泊まれなかったというエピソードが重い。スターなのに…。
「肌が黒いと視聴者が不快になるから」という理由でおしろい塗りたくってピエロみたいにされたという話も壮絶です。今だったら大問題じゃ済まされないよ!闇が深すぎるだろ当時のアメリカ…。
そんなダークな世の中に対し一切声を荒げることなく、ひたすら善人であることを貫き、聴く人を楽しませる音楽を追及し続けたコール。不世出の天才シンガーでありながら人格的にも優れていた偉人だったことが伺えます。
あと若かりしトニー・ベネットの映像がさり気なく貴重。