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『グレイハウンド』感想 トム・ハンクスvs潜水艦――AppleTV+のキラーコンテンツ爆誕!

今回はAppleTV+限定配信の新作映画『グレイハウンド』の感想記事です。

NetflixやHuluと違ってオリジナル作品しか配信しないという超純血主義のApple TV+…。
そのくせオリジナル作品がちょっとしか無いApple TV+…。
あげく利用料金が高いApple TV+…。

正直、こんなの誰が見るの!?と思わざるを得ないしょんぼりサブスクリプションのAppleTV+ですが、なにやらiPadを新調したらタダで一年分ついてきたのでなんとなく見てます(;^ω^)

 

そんなAppleTV+にあって、今回紹介する『グレイハウンド』は貴重なキラーコンテンツ。第二次世界大戦下での艦隊戦を描く戦争映画で、あのトム・ハンクスが自ら脚本と主演をこなし製作に10年もの月日を費やしたという執念の力作です。さすが第二次大戦映画の常連。

誰も見てないAppleTV+限定になるくらいだったら、いっそ利用者が圧倒的に多いNetflixで配信してくれぇというトム・ハンクスの叫びが聞こえてきますが…(;^ω^)
映画は間違いなく面白かったよ!

 

 

グレイハウンド

2020年 アメリカ
監督:アーロン・シュナイダー
出演:トム・ハンクス、エリザベス・シュー

 

 

評価 A

 

ときに第二次世界大戦下。
米国海軍所属のアーネスト・クラウス艦長は、増援と救援物資を満載した船団を率い大西洋を横断する作戦に従事する。

しかしときの大西洋は、ドイツ軍擁する超高性能潜水艦Uボートの巣窟。
果たしてクラウス艦長は危機をかいくぐり、無事任務を遂行することができるのか!?

…というお話です『グレイハウンド』。

トム・ハンクスが機長や船長をやるとろくでもないことになるのは周知の事実ですが、今回もばっちりキメてくれました。地獄の大西洋横断ツアーが開幕です。

 

通常は輸送船団には護衛の航空支援がつきますが、第二次世界大戦当時は燃料の問題で大西洋のド真ん中まで飛行機を飛ばす技術がありませんでした。
つまり、どうしても船団が「自分の身は自分で守るしかない」海域が出てきます。劇中ではそれを"穴"と呼んでますが、この穴をいかに乗り切るかが本作のミソってわけ。

なにしろ37隻からなる大船団を数隻の護衛艦で守らなくちゃいけないので、その忙しさは悪夢という言葉ですら生ぬるい過酷っぷり。

前を守れば後ろが危険になる。
敵を追いかければそれだけ護衛対象との距離が開く。
極寒のせいで次々と計器が不調となり、爆雷の残数も着々と減っていく…。

目の前で溺れかけている船員を救助するのか、それともピンチに陥る味方艦を助けに行くのか…救えるのは片方だけという究極選択を迫られる場面さえ登場。

 

輸送船団を執拗に追い回す凶敵・Uボート。
いけないわ…悪役なのに…カッコ良すぎる!

 

そんな見ているだけで胃が痛くなってくるような難局の連続にあっても、絶望せず冷静さを失わず粛々と任務をこなし続ける男がいます。
そう、トム・ハンクス(アーネスト艦長)です

ジャンボジェット機さえハドソン川に着水させたトム・ハンクスは、今回も次々と来襲する危機を前に一歩も引かずに対処し続けます。
その頼りがいのデカさはもはや前人未到の領域。

 

護衛艦"グレイハウンド"の乗組員も、戦術面・精神面の両方においてトム・ハンクスに頼りきりです。
その目つきは綾南のメンバーが海南戦の後半で仙道を見るときのそれ。
「それでも艦長なら…」
「艦長ならきっと何とかしてくれる…!」状態。

 

こんな重圧を背負わされた日には私だったら「探さないでください」の書置きをあとにエスケープダッシュ不可避ですが、トム・ハンクスったら眉間にシワを寄せ続けつつも最後まで踏みとどまって戦い続けるんだもの。もちろん平気へっちゃらなワケではなく、肉体面・精神面ともに超重圧にさらされ続けてブッ壊れる寸前の状態で。
第二次世界大戦で偉業を成し遂げた軍人さんたちは、やっぱ一味違うよねと言わざるを得ない。

 

それでもトム・ハンクスならきっと何とかしてくれる…!
映画史上、最も上司になってほしい男がここに爆誕。

 

なお海戦シーンは大迫力。一切妥協なし。
敵と味方の位置取りが何より重要な海戦ですが、俯瞰視点を多く取り入れることでその点に対しうまいこと状況説明が成されています。

そのうえで物語のメインは狭い艦橋や敵弾の降り注ぐ甲板からの視点で展開するので、さながら自分も艦に同乗しているかのような迫力。船酔い注意。
レーダーからの情報を黒チョークでガラス板に描き込んでいくという、第二次大戦ならではのローテクっぷりも臨場感を増します。

そのうえで例によって俯瞰視点からの状況説明がクリアカットなので、総合的に醸し出される緊張感の高さはもはや発狂寸前レベル。
戦争映画の醍醐味が存分に味わえます。

 

俯瞰視点での艦隊戦のカッコよさよ。
この雰囲気…トム・ハンクスにブン殴られるかも知れませんが私的に一番しっくりくる表現は超硬派になった艦これアーケード
せめてWorld of Warshipsに例えてあげたかったけど、この俯瞰視点のカッコよさはどちらかというと艦これアーケード。うむは言わせん。

 

そんなこんなで第二次世界大戦ムービーの新たな傑作誕生と言っても間違いない『グレイハウンド』ですが…惜しむらくは字幕が困ったちゃん仕様であること。
映画のせいじゃないけど。

(遠くの爆発音)
だの
(雷鳴)
だの
(鉛筆の芯の折れる音)
だの…
効果音をいちいち字幕で説明するのやめてくれませんかねッ!?AppleTV+さんよーッ!!
2020年7月23日現在で日本語吹き替え版は未実装のため、よほど英語力に自信がない限り字幕に頼らざるを得ない…。
最初から聴覚障がい者用と割り切って見ればまあ悪くはないのかも知れませんが…日本語吹き替え版がよかったなー!

 

そんなワケで、AppleTV+のキラーコンテンツの一作である『グレイハウンド』の紹介でした。
ほんとに面白かったので、これを機にAppleTV+の無料期間をトライしてみるのはアリなんじゃないでしょうか(そのまま契約し続けるのがいいとは言っていない(;^ω^))。

 

キャプテン・フィリップス (吹替版)
トム・ハンクスが乗り物で大変なことになるムービーその1。

 

 

ハドソン川の奇跡(吹替版)
トム・ハンクスが乗り物で大変なことになるムービーその2。

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