映画

名作はハードSF版マッドマックスに生まれ変わった 『BLAME!』

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おすすめ度
■■■■■■■■■□  9点

【あらすじ】
無限に続く都市群を旅する霧亥は、過酷な環境で生きる村人たちと出会う。


傑作ハードSFコミック『BLAME!』が20年の時を越えてまさかの劇場アニメ化。劇場公開最新作なのにもうおうちで観られるというところが実にNetflixオリジナル!
音楽も映像もシナリオもすべてが高い次元でガッチリ纏まった快作に仕上がっています。すごく楽しかった!

新装版 BLAME!(1) (アフタヌーンコミックス)
いまは一児の父の私も20年前は高校生でした。
高校生といえば中二病、中二病と言えば難解な作品です。
そう、当時の私にとって世界観の安直な説明を拒む『BLAME!』はまさに中二魂にストライクだったのです。
無限に続く廃墟を旅する謎めいた男。
「ネット端末遺伝子」「重力子放射線射出装置」「超構成体」「ケイ素生物」
正直いまだによく分からない難解な固有単語に複雑な世界観。しかしワケ分からないなりに、強い信念に裏付けられた霧亥とシボのバイオレントな旅路に本当に夢中になったものでした。
そして以後も『アバラ』の変身ヒーローっぷりに、『バイオメガ』の圧倒的スピード感に、『シドニアの騎士』の突然の学園ラブコメにいつだって夢中なのです。
弐瓶勉大好きです。アサシンクリード展で買ったポストカードは宝物です。
・・・と言いつつ、本当はそう無茶苦茶熱心なファンでもないです。てへ。
だから今作Netflix版『BLAME!』も事前情報は何も得ていなかったので存在自体知りませんでした。ある日いつものようにNetflixのホーム画面を開いたらおもむろに新着コーナーに鎮座ましましているのを見てコーヒー吹いたという次第です。

なんて素敵に換骨奪胎

監督の瀬下寛之をはじめアニメ版『シドニアの騎士』の製作スタッフ総出なので、画風はかなりシドニア寄りです。
ストーリーの下敷きとなっているのは原作『BLAME!』の序盤のエピソード。『BLAME!』は初期ほど説明が乏しくアンフレンドリーな雰囲気なので、原作未見層でも分かるように1本の映画にまとめるのは相当難しかったはず。
しかしそこは上手いことシンプライズされたモノローグキャッチーなデザインに生まれ変わったキャラたちがテンポよく世界観を説明してくれます。まずここが見事です。
これだけキャラクターの見た目が変わるともはや別作品になってしまいそうですが、霧亥とシボは十分面影を残しているし、村人たちが使う武装や敵キャラ「駆除系セーフガード」はまんま原作のデザインなので不思議なほど濃厚なBLAME!感が再現されています。この落としどころも試行錯誤のタマモノなんだろうなあ・・・凄いこだわりを感じます!
でっかい娘さんだな〜」とか、細かいセリフが再現されているのも素敵です。

意外なほどまっすぐな人間賛歌

主人公は暴走する都市を止めるために旅を続ける男「霧亥」ですが、物語は混沌の世界で生きていくために日々戦い続ける村人たちの視点で紡がれます。むしろ主人公の霧亥はほとんどセリフが無い。もともと無口キャラなので当然と言えば当然なのですが、実は真の主役は村人たちです。
村人の文化や風習、生活の環境はとてもきめ細やかに描かれていきます。明日をも知れぬ生活。ともすれば捨て鉢になってしまいそうな過酷な人生。しかしその中で彼らは仲間と助け合いながら人間性を失わずに強く生きています
難解なハードSFの皮をかぶってはいますが、テーマは実に普遍的かつ王道的。誰でも楽しめるようになっています。

映像化と言うよりむしろリメイク

当時はトガった作風が売りの『BLAME!』でしたが、20年の年月を経て王道エンタテイメントに昇華されました。じゃあトガった雰囲気は失われてしまったのかと言えばそんなこともなく、最新のポリゴンアニメーションで見事に生まれ変わっています。
東亜重工やケイ素生物まわりの小難しい要素は大胆にオミットし「過酷な環境に生きる人々を無口な旅人が助ける」というマッドマックス風の英雄譚にギュッと凝縮されています。

古くからの原作ファンからは「コレジャナイ」の声が上がるのは必定と思われますが、これ一本の映画だけで考えるならば敢えて言えます。

めっちゃ完成度高いです
この調子でぜひドモチェフスキーやイコが見たい!あとブラム学園のアニメ化もお願いします!!
ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集 (アフタヌーンコミックス)
サナカン先生が授業中に早弁する生徒を重力子放射線射出装置で吹っ飛ばすカオスな学園

警告 ※ ネタバレ ※ 警告
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!

シボかわいいよシボ

新装版 BLAME!(2) (アフタヌーンコミックス)
↑新装版表紙のシボはアンタ誰感ありますよね

原作でもコロコロ姿を変えていたヒロイン(?)のシボ。そのお約束は本作でもしっかり受け継がれています。

まず登場時は腐乱死体
 →そしてお美しい本来の御姿。脚のデザインが素敵。
 →しかしすぐサナカンに上半身を吹っ飛ばされる。
 →最終的には腕だけになります。
爆散とかもしたけれど、私は元気です。
いくらお約束とは言え上映時間2時間の内にここまで目まぐるしく姿を変えるヒロインは彼女が唯一でしょう。猟奇的な(目に遭う)彼女。
花澤香菜が抑えた演技で独特かつ無機質な存在感を好演しています。
上から目線の口調で見た目も腐乱死体だから最初はちょっと冷酷な雰囲気を醸し出しますが、約束を守って自分の目的より先に村人に食糧提供してあげたり、ネットスフィアへの接続に失敗した時点で最優先事項を村人の安全確保に切り替えたり、その行動理念は人間としての優しさに裏付けられています。

変わり果てた世界でも脈々と継がれる人間性。本作のテーマはシボにも息づいています。

霧亥

片手で数えられるくらいしかセリフが無い主人公の霧亥さん。
多くを語らず、弱きを助け去っていく姿はまさにマッドマックス。づるに思いを託し1人で死地に残るラストシーンは屈指の涙腺決壊ポイント。

サナカン

サナカンもかわいくなっています。ずっとナカンだと思ってたけどサナンなんですね。

づる

劇場版「BLAME!」 弐瓶勉描きおろし設定資料集
本作の真の主役。ビジュアル面では原作から1番変わってます。

脱ぐとムレムレ

冒頭のモノローグが彼女ではなく彼女の孫のものだという仕掛けが憎い。人ひとりの人生なんか一瞬に感じられるくらい長い長い永劫を旅し続ける霧亥。彼の行く先に自然に思いが馳せられます。

しかし劇場公開中の作品がリアルタイムでおうちで観られるなんて幸せ。Netflixが映画の在り方を根本から変えようとしているのが今更ながらひしひし感じられます。


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