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SF・ホラー満漢全席『ストレンジャーシングス 未知の世界』


おすすめ度
■■■■■■■■■□  9点

【あらすじ】
田舎町の少年失踪事件を発端に陰謀が蠢き始める。
傑作警報!傑作警報!!
これめっちゃおもしろいやつーーー!!
数あるNetflixオリジナルドラマの中でもずば抜けたクオリティです。『デアデビル』と並んでNetflix最高傑作に挙げて間違いありません。

SF愛の満漢全席

本作は80年代SF・ホラーへのオマージュが多数ちりばめられています。というかそれだけで一本作ってしまった感じです。

どのくらい拘っているかというと、オープニングのスタッフ名のテロップが切り替わるときちょっと焼け付いたような残像が残る=VHS時代の映像の雰囲気を再現しているくらいです。伝わりづらい!

本編も『ET』や『未知との遭遇』などのオマージュに満ち満ちています。そこに『ツインピークス』と『X-ファイル』を入れ込み、さらにスティーブン・キング感とジョン・カーペンター感で和えているのでもう、全部盛り!SF・ホラー全盛期の満漢全席やで!!

これらの要素をうまく統合し傑作を誕生させしめた監督は一体何者なのか・・・?




ダファーブラザーズ

本作の仕掛け人はマット・ダファーとロス・ダファーの双子の兄弟。テレビドラマ『ウェイワードパインズ/出口のない街』の脚本などを歴任してきたようです。1984年生まれの33歳・・・若い!というか若すぎる、本作がオマージュを献げる80年代にはまだ乳児です。『E.T.』なんか生まれる前の作品です。

多分、この事実こそが本作の過剰な80年代リスペクトの源泉なのでしょう。
自分達がものごころついた頃には既に過ぎ去っていた時代。夢溢れていたであろうSF映画全盛期。実際には見たことないからこそつのる強い憧憬、それが本作を傑作レベルに押し上げたのだと思います。
分かるわ・・・って言うか同い歳だ地味にショック。


立ちまくったキャラクター達

ジョイス・バイヤーズ

失踪したウィル少年の母親。もともと不安神経症の既往があるところに息子の失踪が重なり、第1話からさっそく思考回路はショート寸前

全篇通してずっとわめき散らすので視聴者のイライラゲージを順調に溜めていきます。だからこそ息子への一途な愛情が次第に事態を打開していく後半の展開が燃える!
この存在感はウィノナ・ライダーならではでしょう。実際にパーソナリティ障害を抱えアイドル女優から転落し一時干されていた経緯を持つ彼女は、ジョイスのような精神面ギリギリなキャラにうってつけです。事実今作での演技の評価は高く、ゴールデングローブ賞を受賞しています。 (と言うか『ブラック・スワン』と言い最近こんなのばっかり)


ホッパー署長

ド田舎の小さな警察署の署長。風采の上がらない中年男で当初はウィルの失踪にもあまり関心を示さない。しかし事件が進むに連れ何か異様な事態が起きていることを察知し、ウィルの捜索に次第に執念を燃やしていきます。その執念が自身の悲しい過去に根差す所が泣ける・・・。子どもができてからこっち、こういうパパキャラに弱いです。

止め絵だとさほどでもないけど、動いているときはかなりジャック・ニコルソン顔。作品全体にただようスティーブン・キング感とあいまってすごくシャイニングです。

ウィルの友人の皆様

ダンジョンズ&ドラゴンズ大好きマイク・ダスティン・ルーカス。そこに超能力少女エルが揃えば頭数4人が揃って俺たちスタンドバイミー。本作の真の主役たちです
大人たちが慌てふためく大事件でもその中核にいるのは少年少女というところが『E.T.』感溢れます。エルは強烈な力の持ち主だけど本気を出し過ぎると鼻血を吹いて倒れるという所も絵的に分かりやすくてグッド。

スクールカースト上位のイケメン

他にも立ちまくった魅力的なキャラが多数登場しドラマを盛り上げます
個人的なお気に入りがモテ男子高生スティーブ。典型的な脳みそ筋肉イケメン。悪友たちとつるみ、ヒロイン枠のナンシーには第1話からヤりたい気持ち全開で接します。見るからにザコキャラのため私の中で真っ先に死にそうなキャラランキング堂々の1位でしたが・・・後半は意外な形で活躍します。
モテ男=悪という製作者のコンプレックスが火を噴く系のステレオタイプに収まっていないのがとっても良かったです。

Netflixの看板作品

とにかくSF・ホラーファンは必見の一作です。
シーズン1だけで綺麗にまとまっている点も素敵。それでいて続編に繋がる伏線も散りばめられており今後の展開に目が離せない!
今後間違いなくNetflixの顏になっていくでしょう。



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