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『マインドハンター』4-10話(最終話)感想 圧倒的な面白さ!Netflixの新たな看板作品が爆誕

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【あらすじ】
犯罪心理学の実践活用を目指すFBIのホールデン捜査官とビル捜査官、そして心理学の権威であるウェンディ博士。FBI公認という後ろ盾を得た彼らはできたてほやほやのプロファイリングを活用し次々難事件を解決する。
しかし善悪を超越した真のサイコパスたちと対峙し続けるうちにビル捜査官の精神は疲弊していき、ウェンディ博士は自分の研究の行く末に疑問を持つように。
そしてホールデン捜査官は異様な自信に憑りつかれていく…。

■■■■■■■■■□ 9点

全話観終わりました『マインドハンター』。
こんなデヴィッド・フィンチャーを待っていた!と声を大にして絶賛したい圧倒的な傑作でした。
ただこれ、めっちゃ人を選びます
プロファイリングの達人たちが常人離れした推理と洞察力で意外な犯人を追い詰めていく!という『クリミナルマインド』みたいな警察ドラマを当初は期待していましたが、これそういう話じゃないです。
物語はプロファイリングという概念が確立される前の1977年アメリカ。「心理学など裏方のお遊び」と揶揄されるような頭ガチガチの時代です。
だからホールデンたちは物語開始当初は完全に闇の中。犯罪心理学を志したはいいけど、一体何から始めてどう進めていけばいいのか完全に分からない。教科書も無ければ前例も無い。あるのは直観(←ホールデンが好きな言葉)だけ。

そのため1-3話あたりは主人公たちが何を目的に行動しているのか判りづらく、話も進まないので正直ちょっと観ててしんどいのです。が、それもそのはず当の本人たちが手探りなのです。

成果は上がり始めるが…

長らく手探り状態が続いたホールデンとビルですが、苦労の甲斐あって話数が進むにつれその取り組みは形を成して行きます。「シリアルキラー」など現代ではおなじみのキーワードもちらほら登場。ちょっとワクワクする瞬間です。

そして犯罪心理学の知見が威力を発揮し始め、地元警察が匙を投げるような難事件をも解決に導く二人。
かくして苦労のすえプロファイリングを確立したFBI行動科学課。戦えホールデン!悪が無くなるその日まで!完。

…とはもちろんなりませんでした。
犯罪心理学という分野に光が差すにつれてホールデン、ビル、ウェンディのそれぞれが抱える問題が噴出し、チームは結束を固めるどころかどんどんバラバラになっていきます。
そして最終話では、実は光が差すどころかすでに引き返せないほど深い闇に飲み込まれているという真実が暴かれ、ホールデンは打ちのめされます。

超後味悪いです。
しかしこの重厚さこそ本作の真骨頂。深淵を覗き込むとき、深淵もまたこちらを覗き込んでいるのです。

フィンチャー節炸裂

それにしても本作は銃撃戦も無ければ男同士の絆を語るエピソードも無く、刑事ドラマとしてちょっとどうかと思うほど痛快さに欠けています。
それでもまったく退屈しないのはその演出の切れ味ゆえでしょう。
本作は尺の大部分を尋問シーンが占めるという一種の会話劇になってます。この尋問シーンが本当に素晴らしい!
何気ない一言やちょっとした仕草で場の雰囲気が変わると、その気配が画面からズンッと伝わってきます。犯罪者とホールデンの部屋の中での位置関係などにも情報が詰め込まれており、まさしくフィンチャーらしいパワーある演出!彼が実際に監督したのは全10話中4話だけですがもう全話凄いです。お美事にござります!

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※ ネタバレ警告※ 
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!

全員無名!?凄い存在感の登場人物たち

私が知らないだけかも知れませんが、本作の主要キャストは全員無名です。英断ですね。仮にマット・デイモンがホールデン捜査官を演じていたらアクション超大作『ボーン・プロファイリング』になってたでしょう。画面にスター性という華やかさがまったく無いからこそ、物語に先入観無く入っていけるという訳です。

しかしこの一見地味なキャストが物凄い存在感!
特にホールデン捜査官を演じたジョナサン・グロフの「一番おかしいのこいつじゃね?」と思わせる目つきは最高です。

※2017.11/28
ジョナサン・グロフを始めキャスト陣は全然無名じゃないやい!というコメントを頂きましたので加筆します。

まさに「私が知らないだけ」で全員ベテランでした。
グロフは『glee』の人気俳優であり『アナ雪』のクリストフでありブロードウェイミュージカルへの出演でトニー賞にノミネートされたこともあるザ・実力派でした。さらにwikipediaを引いてみたら新スポックことザカリ―・クイントと付き合ってたけど別れたというどうでもよい情報までゲットしたよ!
そしてアナは某並行世界ドラマの主役で、マッキャラニーも『ジャスティスリーグ』をはじめ様々な話題作にチョイチョイ出てます。
いずれも只者じゃないと思ってたら何のことはない本当に只者じゃなかったという次第でした。「無名」は事実に反する表現だったなーと追記させて頂きます。

調子に乗ってすぐ自滅!狂気のホールデン

第1話では凄惨過ぎる殺人事件を前にまったく手掛かりを見出せずう~ん暗闇ですね」という意味不明なコメントで担当刑事をブチ切れさせていた本作の主人公、ホールデン捜査官。
最初は頼りない彼ですがサイコパス達と対峙するうちに類まれな心理戦の才能を開花させていきます。
恋人であるデビーとの会話が犯罪と社会理論の関わりを論じるディスカッションになっているのも凝った演出ですね。本作の知的レベルの高さを伺わせます。
でもごめんね無学で!デュルケームなんか聞いたこともないよ!

そんなホールデンですが第8話あたりから様子がおかしくなり、明らかに暴走し始めます。
俺流の捜査法で犯人逮捕に見事こぎつける、というくだりは普通の刑事ドラマなら痛快でしょう。しかしホールデンがやるとむしろゾッとする…。なぜなら段々サイコパス側に取り込まれているのが言動の節々に顕れているからです。
特に印象的なのはジョージア州のレイプ魔を尋問するシーン。
「若い女とは若いうちにヤッておかないとな。母親みたいになる前に。」
それ最初の方で殺人鬼エド・ケンパーが言ってたセリフじゃん!!

サイコパスの研究をするうちに、その思考様式に近付き過ぎたホールデン。その変貌ぶりに恋人は離れていき、FBI内でも深刻な背任行為に問われていきます。が、まったく懲りない彼

そして何もかも見失った果てに突き付けられる現実は、自分はサイコパスと同類という残酷な真実でした。
「なぜここに来た?」というエド・ケンパーの問いに「分からない」と怯え切った表情で答えるホールデン。その「分からない」こそ真理=分からないのが俺たちサイコパスだと諭すエドを前に、ホールデンは恐怖のあまり失神してしまうのでした。

もっと知りたい!もっと深く理解したい!とのめりこんでいくくせにいざ真理が眼前に提示されると急に怖くなって拒否反応を示すという行動は、本作と同じデヴィッド・フィンチャー監督作である『ゾディアック』の主人公・ロバートに似ているところがあって興味深いですね。

何にせよ頑張れホールデン!
「分からない」じゃないぞ、それを解き明かすのが君の使命だ!

所帯持ちの辛さを一手に ビル捜査官

暴走しがちなホールデンの相棒役となるビル捜査官。冷静かつ慎重でしかも妻子持ちという何もかもホールデンと対照的なおじさんでした。

この二人の全くかみ合わないコンビぶりも本作の魅力の一つです。
ホールデンの暴走に呆れつつも、どこかで彼の才能に嫉妬しているというフシもあるビル。それでもホールデンを信頼し気に掛けている点が人の好さを伺わせますね。
ビルは心を開かない息子(養子)にどう接していいか分からない臆病な父親という面も持っています。凄惨な事件に触れるあまり、息子に対し「俺、もしかしてサイコパスを育てているのでは」という恐怖を抱いてしまうのは父親としてあまりに過酷な経験(´;ω;`)

でも殺害現場写真なんてどんな理由があっても自宅に持ち帰らんだろ!捜査守秘義務はどうなったんだよお前が悪い!(*`Д')
だが父親キャラに弱いから許す。がんばれ。超がんばれ。

学問に捧げる人生 ウェンディ博士

犯罪心理学の研究を大成させるため、キャリアも恋人(レズビアン)も捨てて行動科学課にのめりこむ才媛。しかしホールデンの暴走で研究自体が潰れそうになり、終盤は常に眉間にしわが寄っています。
現場に行かないくせに文句ばっかりいっちょ前なので、ホールデンが言うこと聞かなくなるのも少し分かるよ(´・ω・`)
「私の研究が台無しになるから犯罪者の刑を軽くしろ」とか検事に直談判に行くシーンとかもうドン引きです。研究バカです。
そんな彼女の唯一の楽しみは野良猫にエサをやること。でもそのエサに虫が湧いている=猫も多分どこかで野垂死んでいる、というエピソードが彼女の孤独感を一層引き立てます。
がんばれ。言うこと全く聞かない同僚に負けるな超がんばれ。

なんなんだよお前! カンザス州の男

最初から思わせぶりに何度も登場し、結局なにもせずに終わったカンザス州の髭メガネ。
何なんだよ君!

FBI行動科学課の究極の目的は「犯罪に至る心理を解き明かし事件を未然に防ぐこと」なので、この男が何かしでかす前に止めることが出来るか否かがホールデン達の命運を決するのだと思います。おそらく。
犯罪心理学の深淵はまだその一端を見せたばかり。
『マインドハンター』はすでにシーズン2への更新が決定しているらしいですね。Netflixの新たなる看板作品として今後も絶対に目が離せません!





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