おすすめ度
■■■■■■□□□□ 6点
【あらすじ】
非モテ女子高生のオリーブ(エマ・ストーン)は、その場凌ぎのデマカセで「大学生の恋人と寝たよ」と嘘をついてしまう。噂は瞬く間に学校中に広まり、非モテキャラが一瞬でビッチキャラに。とは言え人から注目を浴びて悪い気はしないオリーブは噂を放置してしまう。
そんな中、授業で古典文学『緋文字』が取り上げられる。姦淫の烙印を押されながらも自尊心を失わなかった『緋文字』の主人公に感じるものがあったオリーブは…。
暑いよ~→寒いよ~と気候の変動が激しい2017年の梅雨シーズンを皆様いかがお過ごしでしょうか。私は夏バテにやられました。
あーだるいよー…何にもやる気がしないよー…。
ここは普段観ないような映画=人が死なない映画でも見て気分を変えてみるか。
というわけで観てみました『小悪魔はなぜモテる?!』、なかなか面白かったです。
『ラ・ラ・ランド』でラ・ラ・ライアン・ゴズリングと3度目の共演を果たし、その豊かな才能を存分に発揮したことでアカデミー賞主演女優賞に輝いたエマ・ストーン。今やトップスター中のトップスターの彼女ですが、本作はその7年前、22歳当時のエマが主演したティーン向け青春コメディです。
本作の時点でエマのアカデミー賞受賞を一体誰が予見できたか…!月日が経つの早いものです!
※ ネタバレ警告※
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!
映画は明るいけどヒロインは結構酷い目に
ビッチであるという噂が一人歩きし学校中からアバズレ扱いされ友人も離れていくオリーブ。
こんなに評判悪いならいっそこの悪評を活かして人助けしてやるぞ!と、いじめられっ子のブランドンと寝たことにして彼にハクをつけてあげます。それ以来「嘘筆おろし」のお願いが彼女に殺到。実際は処女なのに、人助けすればするほどビッチの噂がヒートアップするオリーブ。
彼女は、社会からの淫売扱いに反抗した女性を描いた古典文学『緋文字』にあやかり、服にでっかく赤いAを縫い付けます。
そんな中オリーブは幼馴染の青年トッドと本当の恋に落ちます。
嘘の自分=ビッチの噂に見切りを付けることに決めたオリーブはYouTubeで実際の顛末を暴露。憧れのクラシック映画よろしく、トッドと一緒に芝刈り機に乗って走り去りこれまでの自分に別れを告げるのでした。おしまい。
オリーブが社会的に結構ボロカスにされるので、描きようによってはかなり悲惨な話になり兼ねなかった本作。
特に後半、散々な悪評を是正しようとこれまで助けてあげた童貞どもに助けを頼みに行くシーンがかなり胸糞悪いです。てっきり「オリーブが犠牲になってくれたおかげで今の僕がある。今度は僕がオリーブを助ける番だ!」的な熱血展開が待っているかとおもいきや、なんと童貞どもは 「君が好きでやったことだろ?今更何言ってんだ知らねーよ( ゚д゚)、ペッ」とあっさりオリーブを見捨ててしまいます。オリーブが人間不信になっちゃうよ!
まあ、最初に助けてあげてあげたブランドンはオリーブとの噂を踏み台に人生を自ら切り開いていったので、彼女の犠牲も丸っきり無駄ではありませんでした。善行が自分の利益となって返ってくるとは限らないし、弱者だからと言って善人とは限らないよというニヒルな主張なのです。意外と苦い!
という訳でで結構可哀想な目に遭う
オリーブですが、エマ・ストーンが底抜けに明るく演じてくれるので紙一重で学園コメディの体裁を保っています。終盤にはオハコのミュージカルシーンもあるよ!
オリーブですが、エマ・ストーンが底抜けに明るく演じてくれるので紙一重で学園コメディの体裁を保っています。終盤にはオハコのミュージカルシーンもあるよ!
ただ成績優秀で明るくて楽しくて美人でエマ・ストーンな彼女がこれまで男性に縁がない非モテキャラって言うのは無理があるのではなかろうか。まあ映画だし、野暮ってもんか!
邦題はなぜヒドい?
それにしても本作の邦題は酷過ぎます。
何回繰り返すのこれ!?と言いたくなる酷い邦題問題。いつも疑問なんですが、邦題って一体誰が決めてるの?配給会社?何にせよ映画業界人の仕事と呼べるクオリティじゃないですよ…。
たとえば『マッドマックス 怒りのデスロード』みたいにただ単純にダサいだけだったらまだ許せます。感性は人それぞれだもんね。
しかし本作みたいに映画の内容と異なるタイトルをつけてしまうのはどうか。
オリーブはちっとも小悪魔じゃありません。むしろ周囲の勝手な解釈に翻弄されてます。
そして何よりモテてないです。逆に悪評紛々で学校の鼻摘まみになってしまいます。
自ら進んでその状況に進んでいったオリーブの動機こそこの映画の主題で、そこを古典文学に引っ掛けたところが面白いのに…。
確かに原題の『easy A』は「姦淫の烙印」だけでなく「成績優秀」や「オサセのあの娘」みたいな意味も兼ねており、これらのニュアンスを上手く日本語に落とし込むのは至難の業だというのは分かります。
でもだからって『小悪魔はなぜモテる?!』はないじゃろ!ほとんど違う映画のタイトルだよ!
今までの主だった問題邦題を振り返って見ても
『ぼくのエリ 200歳の少女』⇨200歳でも少女でもない
『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー:リミックス』⇨リミックスじゃない
『そんな彼なら捨てちゃえば?』⇨原題と意味が真逆
『もしも昨日が選べたら』⇨選んでない
と、実際には映画を見ずに邦題を付けているのは火を見るよりも明らかです。
これ医者に例えたら診察や検査せずに手術しているようなもんですよ。多分悪いのこれやろ、膵臓やろ。とりあえず切除するでズボー。ぎゃああ。
どんな事情があるのか検討も付きませんが、邦題つけて給料貰ってるんだったらせめてその映画を観ておくのは当然だと思うのです。だってこれじゃ人が頑張って作った映画をウンコでコーティングして給料貰ってるも同然だよ!