おすすめ度
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■□□□ 7点
【あらすじ】
ジェシカ・ジョーンズは常人離れした怪力を持つ特殊能力者。かつてはその力を人助けに使っていたが、ある事件で心に深い傷を負って以来はすっかりやさぐれ下町で探偵業を細々と営んでいる。そんな彼女のもとに死んだはずの宿敵が再び現れる。
Netflixマーベルシネマティックユニバース第2弾。コスチュームヒーローが大立ち回りを演じる前作『デアデビル』から一転、心理戦がメインのサイコサスペンスに。
ジェシカを演じるのはクリステン・リッター。『ブレイキング・バッド』では嘔吐系ヒロインを熱演しインパクト絶大でした。
本作にかける情熱も並々ならず「ジェシカは
生涯最高の当たり役」とインタビューで断言しています。それにしてもお美しい!っていうか可愛い!元モデルのオーラが出まくりです。もったいないかな本来は笑顔が眩しい彼女も本作では常に眉根寄ってます。険しいのは表情だけでなく、態度も誰に対しても常にトゲトゲしい。
しかしむしろこれこそがジェシカ・ジョーンズの魅力。すっかりひねくれた美貌の女探偵が相性最悪の宿敵に嫌々立ち向かうという、ヒーローものとして変化球なのが本作の持ち味だからです。
敵は無敵の能力者
対する敵キャラはキルグレイブ。凄い名前だ。演じるのはデヴィッド・テナント。もとドクター・フー。
アメコミのヴィランと言えば個性的な特殊能力ですが、彼の能力は「相手を意のままに操る」という他と一線を画す超強力なシロモノです。連続で操れる時間には限りがありますが効果が切れる前に再び能力を使えば半永久的に操れるという、ほとんど無敵の能力。しかも回数無制限。ギアスより断然すごい。
そんな強烈な力があったら世界を支配できるのでは!?
確かに。もし『コードギアス』のルルーシュがこの力を手に入れていたら、多分第3話くらいでブリタニア崩壊エンドです。
しかしキルグレイブはそうしない。
なぜなら彼は自分の欲望を満たすことにしか興味が無い、権力や野望にはまったく縁がないキャラクターなのです。ジョジョで例えるなら吉良吉彰タイプです。前作のボスキャラ、フィスクとは対照的です。
キモいぞ!キルグレイブ
問題はその「欲望」が周囲の人間の人生を崩壊させまくっていること。
主人公のジェシカ・ジョーンズも実はその犠牲者で、かつてヒーロー稼業に精を出していたころにうっかりキルグレイブに見初められ例の能力によって強制的に彼の「所有物」に。以降、長年にわたりご寵愛の限りを尽くされてしまったのでした。
物語上重大な意味を持つあるきっかけでキルグレイブの支配を逃れたジェシカでしたが、正気に戻ったら戻ったで身も心もなぶられまくった経験がズシンと来てすっかり心が折れてしまいます。
そんな彼女が再びキルグレイブに立ち向かおうというのだからそれは嫌々にもなるというものです。しかも帰ってきたキルグレイブはジェシカにめっぽう執心で、敢えて能力を使わずジェシカが自ら胸に飛び込んでくるようあの手この手を使ってきます。
目の前の美女を意のままに操ることができたら!?とは中学生以上の男子諸君ならば必ず一度は抱いたことがあろう由緒正しき妄想です。しかし人がやってるところを見ると腹が立つ!キモいぞキルグレイブ!!
じれったいのよ~
物語はキルグレイブとジェシカの心理戦が主軸になってきます。
しかし本作の敵キャラはキルグレイブだけ。マダム・ガオみたいな個性豊かな中ボスは登場せず全編通して変化に乏しい。ここが本作のつらいところです。
キルグレイブの弱点を調べて対抗策を練ったぞ!
→追い詰めたぞ!
→あと一歩のところで逃げられたぞ!
という流れが13話かけて延々繰り返されます。
しかもキルグレイブに逃げられるくだりが毎回「ジェシカ以外の誰かが要らん事してたせいで逃げられる」というパターンのため、もうその都度イライラしてきます。特にホガース!お前だよ!
この繰り返しを「息詰まる心理戦の応酬」と好意的にとらえることも出来ますが、正直登場人物たちの要領の悪さの博覧会にしか見えませんでした。じれったいのよ~!
やさぐれジェシカの苦労譚
とは言え、率直な意見としては本作はかなり楽しめましたよ。
何と言ってもジェシカの魅力が抜群です。必死で対抗策を考えても周りのアホのせいで毎回失敗する報われない系ヒロイン。おかげでいつも不機嫌。このやさぐれ可愛い感じにクリステン・リッターがぴったりハマっており、ドラマの構成のユルさを補っています。
次回作の主人公であるルーク・ケイジも割と重要な役どころで登場するよ!
ジェシカはNetflixマーベルシネマティックユニバースの集大成『ディフェンダーズ』でも主役の一角を担います。磨きのかかったやさぐれっぷりに期待!