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『オルタード・カーボン』01~04話感想 圧倒的ブレードランナー感!でも意外ととっつき易い

2018年 アメリカ
製作・原作:レータ・カログリディス
出演:ジョエル・キナマン、ジェームズ・ピュアフォイ
【あらすじ】
人間の意識をデータ化し「スリーブ」と呼ばれる肉体に次々入れ替えることで人間が半永久的に生きられるようになった近未来。
かつての犯罪者が250年の時を経て刑務所から目覚め、自由と引き換えに殺人事件の捜査を開始する。

とてもテレビシリーズとは思えないリッチな映像美で期待大の新作ドラマ『オルタード・カーボン』がついに配信されました。
フィリップ・K・ディック賞受賞作のSFベストセラーがNetflixの豊富な資金力と合体、とあればもう観ない訳にはいきません。なお主演は『スーサイド・スクワッド』にて主人公なのに一つの見せ場も無かったジョエル・キナマン。名誉挽回なるか!?

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予告編の時点で分かっていたことですが、本作『オルタード・カーボン』はもう徹頭徹尾『ブレードランナー』にオマージュを捧げまくってます。
近未来感溢れる拳銃デザインはまんまブラスターだし、空飛ぶ自動車もまんまスピナー。散見される日本語。そしてお約束の麺類
画面写真だけ見たら『ブレードランナー2049』の未公開シーンかな?と思えるほどそっくりです。

ブレードランナー 2049 (字幕版)
『攻殻機動隊』しかり『AKIRA』しかり『ブレードランナー』以後で同作の影響を受けていないSF作品は皆無とは言え、この徹底的なトレースぶりはまさに確信犯的。
テレビシリーズでこれほどの映像的説得力の構築は見事という他ありません。改めてNetflixの潤沢な製作資金が伺えます。

攻めた描写

そしてNetflixの売りと言えば、配信作品ならではのタガの外れた過激な描写です。
最近では『パニッシャー』の暴力シーンや『デビルマンcrybaby』の突き抜けたエロ&グロが印象的でしたが、今作はさらにその一段階上を行っています。
なにしろオチン棒がさも当然のようにボロンと出ます。女性の陰毛もババーンと画面のど真ん中に登場。さらに第4話の拷問シーンは陰惨&陰惨でかなりキツイ。
性描写&暴力描写両面でまったく遠慮する気が無く、完全にお子様お断りムードです。
しかし過激な描写それ自体は無意味。当然「過激に何を描くか」こそが重要です。例えば大富豪バンクロフトが主人公の目の前でおちんちんをボロンと出すシーンでは「お前らごときに見られてもちっとも恥ずかしくないよ」的な尊大な人間性の説明になっています。
『オルタード・カーボン』がこのコンセプトで一体どんな物語を紡ぐのか、スリリングに見守らせて貰いましょう!(偉そう)

嬉しい4K画質&ドルビーアトモス対応

最近のNetflixオリジナルタイトルは大体4K Ultra HD配信に対応しておりますが、本作もしっかり同上。ギラついた近未来感が超鮮明に味わえます。
そして音響はドルビーアトモスに対応。これは素直にうれしい!
以前『BLAME!』をドルビーアトモスで観たら想像以上に大迫力だったという記事を書きましたが、その傾向は本作『オルタード・カーボン』でも健在です。サラウンド感が豊かで、なおかかつ低音が大変力強い!空中パトカーなどの近未来アイテムが発する効果音に説得力が増し、没入感が断然高まります。
ひとりIMAX状態です。これは癖になりますぜ。

しかし展開もたつく

という訳で超期待の『オルタード・カーボン』ですが…第4話まで観たところの正直な感想は「映像はスゴいけど展開おっそ!( ̄▽ ̄;)」という感じです。もう話の進みがトロくてトロくて…外堀はいいから早よ核心見せろや!という気分になります。
まあ…本作はかなり設定が特殊なので、世界観の説明に尺を取る必要があるのは分かります。そういう意味では丁寧さの積み重ねが後半生きてくると思いたいですね。
とりあえず自分の備忘録も兼ねて今のところのキーワードを書き出してみます。原作未見なので誤解があるかも知れません。間違いがあったらご指摘いただきたい(他力本願)!
・スタック:人間の意識をデータ化した媒体。すべての人間の後頚部に埋め込まれている。見た目はレンコン。

・DHF:スタックに入れられるデータ化された人格と記憶。これを魂と呼べるかは劇中でも議論の的。

・スリーブ:代替可能な肉体。スタックの入れ物。高価なスリーブはイケメン&美女で身体能力も高いが、貧乏人は渋々老婆の肉体を使ったりしている。

・ニードルキャスト:離れた場所にあるスリーヴ(またはバーチャル空間)に人格を転送すること。

・ONI(オニ):網膜入力デバイス。『攻殻機動隊』の電脳に近い概念だと思う。

・エンヴォイ:かつて崇高な目的のために活躍した戦闘部隊。政府(?)に鎮圧・虐殺され、250年経った現在は反逆者扱い。メンバーは全員特殊な訓練を受けており、超人的に戦闘力が高いうえ壁を透視したり異様にカンが鋭かったり様々な能力を持つ。主人公のコヴァッチはその最後の生き残り。

・メト:スリーブを次々交換し数百年生き続ける超富裕層の人々。旧約聖書中の人物メトセラになぞらえてこう呼ばれる。長く生き過ぎた弊害で人間性が破綻している者も多い。

・新カトリック教会:信仰上の理由からスタックの交換を良しとしない宗派。その主張が崇高な人間性から来るのか貧乏人のひがみに根差すのかは不明。殺人の隠れ蓑に使われたりする。

・CTAC:???「容赦無さ過ぎる国際警察」みたいな組織?
 追記:正式名称「植民地戦術強化部隊」のことらしい。情け無用の冷血部隊でコヴァッチの古巣。

ジョエル・キナマンいいですね!

ストーリーを語るにはまだ尚早なのでそれは後の記事にとっておきたいです。が、とりあえず今の段階で思ったのは意外と正統派ハードボイルドでとっつき易いという旨です。

かつて弱者のために戦った男が、今は搾取する側の人間の使い走り。その狭間に広がる薄汚い夜の街。苦悩。戦闘。男臭くグッとくるモチーフの連続です。こういうの大好き!
ジョエル・キナマンの抑えた演技がそれを支えているのもグッド。燃える魂を氷の肉体に宿す男…これぞハードボイルドの王道的な主役像です!アクションシーンの切れも素晴らしく、マジで冴えてますキナマン。

ブロマイド写真★ジョエル・キナマン/『スーサイド・スクワッド』/銃を持つリック・フラッグ/【ノーブランド品】
↑『スースク』のときにこの実力を発揮していれば…

あと貧富の格差という現代的なテーマを内包している点も好みです。
格差が拡大し続けた結果、お金のみならず人間性や寿命さえ弱者から搾取するようになった支配者層の姿はかなり強烈。この胸糞悪いメト連中にどんな過酷な天罰が下るのか今から楽しみですグヘヘ。
あとコヴァッチが泊まるホテルのAIポーが素敵過ぎ。
髭!慇懃な喋り方!ユーモアのセンス!本作随一の萌えキャラです。
スコッチをあおりながら悪党を撃ち抜く西部劇風のカットに痺れる。うちの電子レンジより断然かっこいいよ!
ただし戦うヒロイン枠のオルテガ警部補。てめーはダメだ。
顔が常にむくんでいるのは…まあ好みの問題としても、同僚に対する横柄な態度が大変鼻につく。警察内の他部署に迷惑かけまくりの猪突猛進ぶりも嫌いです。あげく母親までウザい。
後半で盛り返してくれ!
と言う訳でいまから続き観てきます!



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